2011年9月21日(水)「しんぶん赤旗」

民主党政権の復興増税案

大企業は実質減税 庶民に増税

標準世帯負担 年6300円増も


 民主党政権が検討している東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税案は、大企業には新たな負担を求めず、庶民に増税を求めるものとなっています。

財界が圧力

 野田佳彦首相の諮問機関である政府税制調査会(会長・安住淳財務相)が先にまとめた臨時増税案の規模は11・2兆円。法人税は2011年度税制「改正」に盛り込まれた国と地方を合わせた法人実効税率の5%引き下げを事実上3年間先送りし、約2兆4000億円を捻出するとしており、新たな負担増は求めていません。優遇税制の見直しと同時に行われるため、各企業への影響の表れ方は複雑ですが、実効税率は40・69%からいったん35・64%に下げた後、再び38・01%に上げます。「改正前より税率は下がるため、企業にとって実質減税」(「日経」17日付)となります。復興財源として法人税について「純増税を行うことは絶対に容認できない」(日本経団連の「税制改正提言」)との財界の圧力を受けたものです。

 一方、政府税調が示した臨時増税案は、家計に直接影響する所得税などの上乗せが中心となっています。

節約の中で

 家計の負担増は、国税の所得税と地方税である個人住民税の引き上げ分を合わせ、夫婦と子ども2人の標準世帯で平均的年収(500万円)のサラリーマンなら年3600〜6300円となる見込みです。景気低迷の中で節約に努める多くの世帯に負担が押し付けられます。

 政府が示した臨時増税案では、所得税の額を10年間、4%(たばこ増税なども実施の場合)か5・5%(所得・法人増税のみの場合)上乗せします。また個人住民税は、現在一律で年4000円を徴収している「均等割」を、(1)500円ずつ5年間(2)1000円ずつ10年間(3)2000円ずつ5年間―上乗せする案が示されています。

 夫婦と子ども2人の標準世帯で試算すると、所得税は年収300万円で年500円か600円、年収500万円で年3100円か4300円、年収800万円で1万3400円か1万8400円の増税。これに個人住民税の上乗せ分(年500〜2000円)を加えた額が家計の新たな負担増となります。

 また夫婦と子ども1人の世帯では、所得税だけで年収500万円の場合が4900円か6700円の増税、年収800万円の場合が1万8400円か2万5300円の負担増となります。


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