2011年8月28日(日)「しんぶん赤旗」
水俣病救済 線引き誤り
熊本 被害者ら現地で海流調査
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水俣病救済の対象地域外に多数の潜在患者がいるにもかかわらず、線引きで被害者を切り捨てる「水俣病特別措置法」の問題点を問う「ミナマタ現地調査」が27日、熊本県天草市で始まりました。被害者団体などで構成する実行委員会主催で東京都、福島県や地元から約400人が参加しました。2日間の日程です。
対象地域外の同市川浦町宮野川内地域に面する海域を船上から視察。2003年に水俣市で起きた水害の犠牲者の遺体が同地域に流れ着いたことなど、「海の線引きは潮の流れからも誤っている」事実を視認しました。
熊本大学大学院の入口紀男教授は、水俣病原因物質の有機水銀発見過程を概観し、日本の化学界でも有機水銀が人体に有害なことは早くから周知の事実だったことを指摘。水俣病原因企業のチッソは海の汚染を知りながら、水俣病公式発見前の1935年から水俣湾に有機水銀を含む廃液を流し続け、発見後も事実を隠ぺいし、10年以上被害を拡大した行為を断罪しました。
福島県南相馬市から訪れた同県農民連の三浦広志さんが、福島第1原発事故で農業を奪われた思いを訴えました。「補償問題で東京電力は線引きをしたがる」と水俣病との共通性を指摘し、「水俣病の経験に学び、あきらめないでたたかっていくことが大事」と語りました。
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