2011年8月22日(月)「しんぶん赤旗」

被災保育所 民営化狙う

仙台市 保育士全員入れ替え


 東日本大震災で大きな建物被害を受けた公立保育所2園を建て替え後に民間委託する方針を仙台市が打ち出しています。「震災後の子どもたちの心のケアが必要な時に、保育士が全員入れ替わることによる子どもたちの不安、動揺は計り知れない」と保育士や保護者は、市の責任で保育所を運営させるよう求めています。(浜島のぞみ)


心のケア必要なときに…

震災利用許せぬ

 仙台市の方針では、被災して危険と判定された中山、南光台北の両園の仮設園舎を8月末までに完成させ、来年度に保育士の引き継ぎを行い、2013年度から新園舎で民間委託を開始するというもの。

 市全体で、築25年以上の木造保育所22カ所について民設民営を基本に民営化するといいます。市の待機児童は4月1日時点で1000人近くに達しますが、市は「保育需要のあるところへ民間の力を導入したい」としています。

 一方で市は「2園の早急かつ確実に建て替えが必要」と、公立施設に適用される災害復旧の建て替え補助を国に申請しています。

 市の担当者は「職員は全員異動となります。6月に開いた保護者説明会で、反対の声もあった」と話しました。「慣れ親しんだ先生たちが全員いなくなるのは、子どもにとっても、保護者にとっても不安です」との声があがったといいます。

 被害を受けた保育所のベテラン保育士は「ある園児が『保育所がこわれているのを見たら、わたし、なみだがでちゃった。そしたら、ママも泣いちゃった』と言いました。保育所が壊れたことは、園児にとっても保護者にとっても悲しいことです。心のケアが必要なときに、震災を利用した残酷な提案です」と話します。

 仙台市職員労働組合保育所支部の嶺岸祐子支部長は「震災で壊れた公立保育所の建て替えには国が面倒をみると言っているのに、職員を入れ替えて民営化する道理はありません。子どもたちの育ちを保障する公的責任を放棄しようというのは許せない」と訴えます。

 1歳の息子を市立保育園に通わせる父親(51)は「震災に乗じて民営化されれば、子どもたちのケアより利益の方が優先になっちゃうんじゃないかと不安です。震災のもっと前に市が建て替える必要があったと思いますよ」と保育士に声援を送ります。





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