2011年8月12日(金)「しんぶん赤旗」
特例公債法案に対する佐々木議員の反対討論
衆院本会議
11日の衆院本会議での特例公債法案に対する日本共産党の佐々木憲昭議員の反対討論は次の通りです。
もともと本法案は、今年度予算の財源を確保するためのものであり、本予算と一体のものであります。
本予算の根本問題は、一方で「新成長戦略」にもとづき大企業・大資産家に約2兆円もの減税を盛り込むなど大盤振る舞いをおこないながら、他方で、医療・介護・年金・福祉などの社会保障分野について、総じて抑制と後退の方向に踏み出したものとなっていることであります。
日本共産党は、国民本位の抜本的な予算組み替え案を提案し、本予算案に反対の態度をとりました。本予算を支える赤字国債発行法案にたいしても、反対の態度をとるのは当然のことであります。
重大なのは、民主、自民、公明の「3党合意」によって、子ども手当を廃止するなど、本予算はいっそう改悪されようとしていることであります。国民の暮らしの基本にかかわる問題を、3党だけで協議し、その結論を国会に押しつけるやり方は、国会の民主的運営を否定するものであります。はじめに、この点を厳しく指摘しておきます。
手当もてあそぶ
子ども手当の廃止について、民主党の岡田幹事長は「理念は変わっていない」などと述べていますが、何の反論にもなっておりません。
もともと、民主党の説明によると「児童手当」は、「家庭における生活の安定に寄与」することが特徴とされ、そのため「所得制限」があり、年齢や出生順位により金額が異なっていたのであります。これにたいして、「子ども手当」は、「社会全体で子どもの育ちを支え」るものであり「所得制限をなくし、一人ひとりの子どもに同額の手当を支給するもの」であります。
民主党のこの説明から見ても、今回の合意は、子ども手当を放棄し児童手当に戻したことは明らかであります。そのうえ、現行の子ども手当の支給額、1万3000円が1万円に減額される世帯が生まれ、少なくない子育て世帯に実質負担増を押し付けることになるのであります。
日本共産党は、保育園整備などの「現物給付」と「現金給付」のバランスをとり、総合的に子育て支援に取り組むよう主張してきました。この議論こそやるべきだったのであります。ところが、昨日の財務金融委員会での質疑で明らかになったように、3党の協議で子育て支援をどう総合的に進めるのかという議論をした形跡がまったくなかったのであります。「子ども手当」を特例公債法案の取引材料に使って、もてあそんだだけだったのであります。
「魂」を売り渡す
自民・公明両党は、民主党に対して一つ譲れば「ふたつ譲れ」と言い、ふたつ譲れば「みっつ譲れ」と言って、マニフェストの完全放棄を迫りました。マスコミは、「3党合意」を見て、民主党はついに「白旗を掲げた」と書きました。
われわれから見ても民主党のマニフェストにはムダな部分もあります。しかし、子ども手当や高校授業料無償化などの生活関連政策も含まれています。これらが後退することは、容認できるものではありません。
岡田幹事長は前回の総選挙のさい民主党のマニフェストは「魂の結晶だ」と言っていたのであります。民主党に問いたい。「国民の生活が第一。」という理念は、いったいどこに行ったのでしょうか。政策のすりあわせで自公政権時代に戻ったら、「魂」を売り渡したとしか言いようがないではありませんか。
東日本大震災から今日でちょうど、5カ月であります。なくなられた方は1万5689人、行方不明者が4744人も残されております。また、多くの被災者が猛暑のなかで不自由な避難生活を強いられ、明日の暮らしが見えない状況にあります。
求められているのは、地震・津波や原発事故で破壊された被災者一人ひとりの生活基盤を再建すること、そのために必要な支援を迅速かつ具体的におこなうことであります。政府と国会は、そのために全力を集中すべきであります。
このことを指摘して、反対討論とします。