2011年8月11日(木)「しんぶん赤旗」

枯れ葉剤被害償え

製造会社に賠償請求へ

被害者国際会議で発表 ハノイ


 【ハノイ=面川誠】第2回枯れ葉剤被害者国際会議が8日と9日、当地で開かれ、米政府と製薬会社に対して全面的な責任を果たすよう求めるアピールを採択して閉幕しました。主催団体の「ベトナム枯れ葉剤被害者の会(VAVA)」は会議で、新たな訴訟を準備中だと明らかにしました。


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(写真)採択されたアピールに次々と署名する会議参加者=9日、ハノイ(面川誠撮影)

 ベトナムの第1世代の被害者は2004年にモンサント、ダウ・ケミカル両社に賠償を求めて米国で提訴しましたが、09年に連邦最高裁が棄却しました。新たな訴訟は残留ダイオキシンが残る地域の第2世代の被害者を原告として、枯れ葉剤製造にかかわった37社のうち主な会社を相手に賠償を求めるといいます。

 会議のアピールは、「米政府とエージェント・オレンジを製造した製薬会社は、(ダイオキシンが残る)現場の除染、被害者と家族への実効的で包括的な支援を行い、全面的な責任を果たすべきだ」としています。会議にはベトナム人被害者だけでなく、侵略軍として参戦した兵士やその子どもらの枯れ葉剤被害者ら25カ国から約100人が参加。米国、韓国、オーストラリアなどの被害者が被害者の苦境を訴えました。

 米国から参加したヒーザー・ブラウザーさん(38)は、6年前に亡くなった父が参戦し枯れ葉剤を浴びました。右足がありません。

 ブラウザーさんは、「2世、3世の被害者が全米で何人いるのか、調査も行われていません。製薬会社からも政府からも、私たちは何の支援も受けていません」と語りました。

 10日にはハノイ市内の劇場で、枯れ葉剤散布開始から50年となる日に合わせた式典が開かれました。グエン・ティ・ゾアン国家副主席は演説で、「枯れ葉剤の散布は世界最大の化学戦争だった。この悲劇を二度と繰り返してはならない」と呼び掛けました。


 枯れ葉剤 米国はベトナム侵略戦争中、南ベトナム解放民族戦線の食料源を断つことなどを目的に1961年から71年まで大量の枯れ葉剤を散布。最も多用された「エージェント・オレンジ」に含まれた猛毒ダイオキシンの影響で、枯れ葉剤を浴びた本人の健康被害のほか、第2、第3世代の先天異常が発生。ベトナム政府によると被害者総計は約300万人。





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