2011年8月6日(土)「しんぶん赤旗」
防衛省報告書
島しょ展開へ米軍・民間船
「大綱」具体化へ活用検討
防衛省は5日、昨年12月に策定した「防衛計画の大綱」を具体化する「防衛力の実効性向上のための構造改革推進ロードマップ」をまとめました。
この中で、自衛隊が本土から南西諸島など島しょ部への機動展開を可能にするために、米軍や民間船舶の活用を検討することを盛り込みました。
報告書は、「陸上自衛隊の部隊の機動展開には、大きな海上輸送力が必要」だとして、「民間輸送力等にも大きく依存する」と明記。海自や空自の作戦資材の輸送でも、民間輸送力を活用するとしています。
防衛大綱で自衛隊の機動展開を想定しているのは、中国が尖閣諸島や与那国島といった離島を占領するといった事態です。まさに戦時動員であり、民間船舶の船員を危険にさらすことになります。
また、離島奪還作戦で自衛隊に「大量傷病者」が発生する事態も想定。離島の「連隊収容所」→「師団収容所」→「本島」への治療後送態勢のイメージを示しています。
さらに、東日本大震災で3自衛隊が統合運用体制で支援物資の輸送などを行った経験を踏まえ、統合幕僚監部を中心とする「統合輸送統制」機能を強化するとしています。
部隊配置では、南西地域に加えて首都圏など大都市部での対処能力向上をあげました。
報告書は、防衛大綱が掲げる「動的防衛力」を具体化しながら、自衛隊を米海兵隊のような戦地への迅速な殴り込みを行う能力を持つ部隊に変える狙いが示されています。