2011年7月29日(金)「しんぶん赤旗」

子ども手当 どうなる

政局がらみの駆け引きで

中堅世帯 負担増に


 民主、自民、公明3党で実務者協議が行われてきた子ども手当。27日、実務者レベルの合意案がまとまりました。いったい、どうなるのか―。


扶養控除廃止

 子ども手当は現在、中学校修了前までの子どもに一律月1万3千円が支給されています。所得制限はありません。

 3党の実務者合意案では、給付月額を3歳未満は1万5千円、3歳以上は1万円などとします(表)。さらに、世帯主の手取り年収860万円(年収1150万円程度)以上の世帯に所得制限を設けます。

 民主党政権は、子ども手当の創設にあたって所得税と住民税の年少扶養控除を廃止しました。そのため、手当の支給がゼロになると、控除廃止による増税分がまるまる負担増となってかぶさってきます。

 そこで、3党の実務者合意では、所得制限を超す世帯には控除廃止による負担増がかからないよう、扶養控除で減税されていたのに相当する額を「目途」として、「税制上、財政上の措置を検討」するとしています。

 具体的には、所得制限以上の世帯には月9000円程度に減額して支給する、あるいは税額控除でその分を減税する―などが考えられています。

高所得者だけ

 扶養控除廃止分が増税となっているのは、手取り年収860万円(年収1150万円程度)を超す世帯に限りません。すべての子育て世帯が増税の影響を受けます。年収500万〜800万円の層では年間7万円から11万円(サラリーマン片働き、子ども1人世帯)もの負担増になっています。

 この層では、子どもが小学生以下の場合、実務者合意の金額で子ども手当を受け取っても、子ども手当導入前と比べて差し引き負担増になることを、政府は日本共産党の佐々木憲昭議員の質問で認めています(26日、衆院財務金融委)。

 年収500万円以下の世帯も、差し引きでプラスになる額はわずか。扶養控除廃止で所得税額が増えるのにともなって保育料などの負担が連動して増える恐れがあり、わずかなプラス分は吹き飛びかねません。

 高所得者には増税分の影響が出ないように措置するのに、中堅以下の世帯には何の手当てもしないとなれば、中堅世帯が負担増をかぶることになります。

 こうした不合理は、そもそも民主党政権が扶養控除廃止分を子ども手当の財源にしたこと、さらには民・自・公3党が政局がらみの思惑から子ども手当を駆け引き材料にしてきたことから生じています。

 共産党は、子ども手当を安定した恒久的な制度とするためにも年少扶養控除廃止の見直しなど、すべての子育て世帯が実質的な負担増にならない措置を求めています。

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