2011年6月25日(土)「しんぶん赤旗」
住民主人公の復興を
中小商工業研がシンポ
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全国商工団体連合会(全商連)付属の中小商工業研究所が主催する「震災復興は住民主人公、地域循環型で」と題したシンポジウムが24日、東京・衆院第1議員会館で開かれました。被災地を含めて120人が参加。3人の専門家が、現地視察を踏まえて、上からの復興ではなく、地域の資源や特性を生かした地域再生の方向を提言しました。
駒沢大学の吉田敬一教授は、「震災復興を考える基本的視点」として、問題提起。今回の震災は、市場原理主義でゆがめられた日本の経済・社会の弱点が露呈したとのべました。震災直後に起きたガソリン不足は、石油業法を廃止し石油の備蓄・生産を自由化したため、備蓄箇所がピーク時の3分の1に激減したからだと指摘。消防と公立病院は規制緩和で人員削減と統廃合がすすみ、必要な救援や医療が損なわれたと話しました。上からの自治体合併で、住民サービス分野の弱体化と担い手不足などが被害を拡大させたと強調しました。
吉田氏は、復興方針をめぐって、震災をグローバル競争力強化のテコにする構想と、地域の特性を生かし、そこにすむ人たちによる地域社会の再生をめざす復興構想のせめぎあいが続いているとして、被災地域の復興は財界・大企業の利益獲得の手段ではないと批判しました。
名城大学の井内尚樹教授は、上からの復興路線として、宮城県知事による「復興水産特区」の問題点をのべました。震災のどさくさにまぎれて、漁業権の自由化など漁業を金もうけの種にしようとする財界・大企業のもくろみに加担する宮城県の姿勢を批判しました。
静岡大学の鳥畑与一教授は、復興をめざすうえでの地域金融機関の役割を話しました。二重ローンを抱える被災企業・個人の返済負担を軽減する措置は重要だとのべました。被災県の特徴は、漁業者など100万円単位の小規模・零細業者が大部分だとして、債務者を選別する対策は問題だとしました。
シンポでは、被災した岩手、宮城、福島の代表が報告し、フロア発言もありました。
日本共産党の吉井英勝衆院議員が国会情勢を報告しました。
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