2011年6月16日(木)「しんぶん赤旗」

障害者基本法改正案 可決

塩川議員 修正案を提案

衆院内閣委


写真

(写真)質問する塩川鉄也議員=15日、衆院内閣委

 衆院内閣委員会は15日、政府提出の法案および民主・自民・公明3党で政府案を修正した障害者基本法改正案を全会一致で可決しました。日本共産党の塩川鉄也議員は、「障害者が求めてきた障害者権利条約の趣旨を徹底させる点で極めて不十分だ」として修正案(別項)を提案。可決とはなりませんでしたが、改正案も一定の前進面があるとして賛成しました。

 質疑で塩川氏は、「私たち抜きに私たちのことを決めるな」という障害者権利条約の基本精神に反し、当事者の声を聞くための参考人質疑さえ行われなかったことを指摘。政府案を決定する最終過程でも、障害者・家族が過半数を占める「障がい者制度改革推進会議」が開かれなかったことを強調しました。

 蓮舫国務大臣が「推進会議の意見は十分に反映した」などと答弁すると、傍聴席を埋めた障害関係者から「そうは思いません」との声がもれました。

 塩川氏は、改正案が「共生社会の実現」など積極的な目的規定を掲げ、障害者について「どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され(る)」としながら、「可能な限り」と限定していることは問題だと述べました。

 蓮舫氏は、限定した理由を「障害が重度だと選択の機会が確保できない場合もありうる」などと説明。塩川氏は「障害者権利条約にはそんな限定はない。基本法で重度の障害者でも選択の機会が確保されることを宣言してこそ、地域での実践の促進になる」と強調しました。


障害者基本法改正案

日本共産党の修正案の要点

 日本共産党が提出した障害者基本法改正案に対する修正案の要点は以下の通りです。

 ▼改正案3条の「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され(る)」とする規定など「地域社会における共生」規定から「可能な限り」を削除する。

 ▼障害者権利条約の「合理的配慮」(障害者が障害者でない者と等しく基本的人権を享有することを確保するための必要かつ適切な変更および調整)の定義を条文に盛り込み、合理的配慮の否定を差別とする規定を追加する。

 ▼改正案による障害者の定義―「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」に、「周期的にもしくは断続的に」という規定を追加し、難病などの障害がより明確に位置づけられるようにする。





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