2011年6月12日(日)「しんぶん赤旗」
サイバー法案
表現の自由を制約
参院法務委 井上氏指摘 見込み捜査の危険も
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日本共産党の井上哲士議員は9日の参院法務委員会で、「サイバー犯罪に関する刑法等改定案」に盛りこまれたコンピューター・ウイルス作成罪が国民の内心や表現、通信の自由を制約しかねないと批判しました。
井上氏は、ウイルスで被害を生じた場合に処罰する法整備は必要としつつ、「作成」という被害発生前の「予備的行為」を処罰する点について、「作成段階で処罰しなければコンピューター・プログラムへの社会的信頼が崩れるような立法事実はあるのか」と質問。江田五月法相は「信頼を崩す根源をつくりだすウイルス作成に当罰性はある」と述べるにとどまりました。
井上氏は、コンピューター内の作業にとどまっている段階での処罰は「内心、表現の自由」を侵すことになると指摘。江田法相が「濫用を防止するためのさまざまな要件を加えた」と述べたのに対し、「コンピューターの中は外からわからない。捜査機関の恣意(しい)的・見込み捜査につながる危険が高い」と強調しました。
さらに井上氏は、ウイルスの定義があいまいなことも恣意的運用を可能にすると指摘。プログラムの不具合であるバグについてウイルスにあたるかただしたのに対し、小川敏夫法務副大臣は「一般的にはあたらないが、観念的にはありうる」と答弁しました。
井上氏は「それでは関係者はいっそう不安になり萎縮してしまう。類型をあげるなど構成要件を具体的に絞り込むべきだ」と求めました。