2011年6月10日(金)「しんぶん赤旗」
介護改定案
市町村ルールで切り捨て
田村氏批判 副大臣否定できず
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「要支援」と認定された多くの高齢者への介護サービスが市町村独自の「ローカルルール」によって切り捨てられかねない―。介護保険法改定案の重大な危険性が、9日の参院厚生労働委員会での日本共産党・田村智子議員の質問によって浮かび上がりました。
要支援者への現行サービスでは、介護の質の確保のために法令で事業者が指定され、施設や職員資格の基準も定められています。
田村氏は、今回の法改定で要支援者から現行サービスをとりあげ、法令上の基準がないサービス(介護予防・日常生活支援総合事業)に置き換えることが可能になると指摘。▽ヘルパー資格をもつ職員による家事援助や入浴介助が、ボランティアの手伝いに置き換えられる▽専用施設での常勤職員によるデイサービスが、公民館の会議室でのボランティアの見守りに置き換えられる―などの事態を招くと批判しました。
大塚耕平厚労副大臣は、衛生管理などの基準は示すと弁明したものの、サービスの質が下がる恐れを否定できませんでした。
さらに田村氏は、現行サービスを提供するか、基準なしのサービスを提供するかの判断が市町村に委ねられる問題を追及しました。
これまでも市町村独自の「ローカルルール」によって生活援助や散歩介助のとりあげが横行し、「法令に定める基準」を根拠に厚労省が市町村に是正を求めてきた経緯を力説。改定案は肝心の法令上の基準を外すもので、生活援助などのサービスひきはがしが起こらない保証はどこにもないと批判しました。
大塚氏は「自治体に任せては駄目という考え方には同意できない」と述べ、介護を保障する国の責任を棚上げにする態度を示しました。
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