2011年5月26日(木)「しんぶん赤旗」
高校生の学ぶ場返せ
福島の教師らが東電に補償要求
「4000人の生徒の学ぶ場を奪った東電は謝罪し、教育環境を元に戻す努力をせよ」。東電福島第1原発の放射能汚染で避難を強いられた福島県立高校の教師らが25日、東京都港区の東京電力を訪ね、学校機能が破壊された高校生・障害児学校生の学習権保障を求めました。
福島県立高等学校教職員組合の杉内清吉書記長はじめ8人の教職員が、日本高等学校教職員組合(日高教)などの代表とともに実態を訴えました。
避難地域の8県立高校と1障害児学校では、他校の校舎や体育館を借りて間仕切りして授業するなど困難な状況にあることを説明。通学バスが不足し、1時限目の授業時間に間に合わず、部活に参加できない、実習が行えないなど教育権が保障されていないと訴えました。
東電に提出した緊急要求では、「生徒と保護者にたいして、いまだ謝罪の一言もないという不誠実な対応に対し心からの怒りを禁じえません」と指摘。(1)生徒や保護者への説明責任(2)仮設教室や仮設校舎と冷暖房の設置、教育経費や通学費への補償(3)事故収束後は学校再開にむけたあらゆる財政措置(4)命と健康を守るため放射線測定器の配布、汚染表土の除去、長期の健康診断、心理面での相談、放射線防護の講師派遣など―を求めました。
東電の担当者は、「実態は重く真摯(しんし)に受け止めたい」としながら、補償などは国の支援を待つ姿勢をとりました。