2011年5月15日(日)「しんぶん赤旗」
“年金支給年齢上げよ” “負担増まず確認して”
社会保障改革集中検討会議 生中継やめ言いたい放題
これまで開催のたびにインターネットで生中継されてきた政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」。成案をまとめる段階に突入した12日の第6回会合は、説明もなしに非公開になりました。
それもそのはずです。同日の会合では、国が責任を持つべき社会保障を「自助」「共助」にすりかえ、医療や介護の給付抑制など旧自公政権時代以上の社会保障改悪が目白押しの厚生労働省の社会保障改革案が議論されたからです。
会合後、与謝野馨担当相は、委員の名前を伏せて議論の内容を報告しました。
その中身は「年金の高所得者への給付カット、支給年齢引き上げが必要」「負担増が必要だということをまず確認してから議論すべきだ」といった、厚労省案以上の負担増と給付削減を求める声のオンパレード。密室で負担増・給付減にひた走ろうとする姿が浮き彫りになったのです。
匿名で紹介された意見は、ほかにも「効率化を冷たいというのは負担について当事者意識が足りない」「米国では40%の人がお金がなくて医療が受けられないのに、日本では90%の人が医療に不満を持っている」「二十数万円でがん治療で生き延びるのはやりすぎ」と言いたい放題。
一方で、「世代間の対立を無用にあおるべきではない」「いまよりよくなり、しかも安くできる案でなければならない」との意見もあり、社会保障切り捨てを押し付ける後ろめたさと、批判を恐れる様子がうかがえます。
「いよいよ議論を集約する段階。決意を共有したい」としめくくった菅直人首相ですが、集約前のたたき台(厚労省案)とそれに基づく改悪の密室論議は、国民の警戒心を高めざるを得ません。