2011年5月14日(土)「しんぶん赤旗」
復興へ「二重債務」解消を
被災業者・地域生かす枠組み提案
参院予算委で大門議員 「せめてゼロから」
日本共産党の大門実紀史議員は13日の参院予算委員会で、東日本大震災の被災中小企業の再建にとって障害となる「二重債務」を解消するため、債務を買い取る機構の設置など、復興を後押しするスキーム(枠組み)を提案しました。菅直人首相は、「二重ローンにならないようにする、大変検討に値するスキームだ。しっかりと検討させていただきたい」と答弁しました。
首相 “しっかりと検討”
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大門氏は、「すでにある債務が足かせになって借りるに借りられない。二重債務の解決が緊急に求められている」と強調。「中小企業が再スタートできないと、その地域全体の復興もできない」として、「マイナスからではなく、せめてゼロからのスタートにしてほしい」という中小業者の声に応えるべきだと迫りました。
菅首相は「政府として何とかしなければならない。大変重要な課題だ」と答えました。
大門氏は、金融機関による債務の一時返済凍結や「復興特別貸付制度」の返済期間の10年から最大20年への延長、無利子化など、この間求めてきた対策が実現したことは評価。しかし、それらは「緊急避難措置」にすぎず、全てを失った業者を救うには「従来の枠組みを超えた、思い切ったスキームが必要だ」と強調しました。その一例として、「地域経済復興機構(仮称)」を立ち上げ、(1)借金返済を凍結する(2)機構が金融機関から債務を買い取る(3)金融機関は債権売却資金で新規融資を行うというスキームを提案しました。(図参照)
被災状況によっては一部債務の減額や返済免除も検討し、再建が軌道に乗れば、債務の返済も可能になると述べました。
大門氏は、地域金融機関に公的資金を注入するという金融庁の方針だけでは、中小業者は不良債権として処理されて破たんに追い込まれてしまうと指摘。「中小業者を破綻処理するために政府資金を使うのではなく、業者と地域を生かすスキームに投入すべきだ」と主張しました。
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