2011年4月28日(木)「しんぶん赤旗」
日韓関係の発展願う
衆院委 朝鮮儀軌返還で協定可決
笠井議員
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衆院外務委員会は27日、日本が朝鮮半島を植民地支配した時期に持ち出した「朝鮮王朝儀軌(ぎき)」をはじめとする朝鮮半島由来の図書1205冊を韓国側に引き渡す「日韓図書協定」を、日本共産党、民主、公明、社民の賛成多数で可決しました。自民党は「韓国にも日本の図書がある」などとして反対しました。28日の衆院本会議で可決され参院に送付される予定。
「朝鮮王朝儀軌」は、朝鮮王室の儀式や国家行事を絵と文章で記録したもので、1922年に朝鮮総督府によって日本へ持ち出されました。韓国の民間団体などが返還運動を展開し、韓国国会も2度にわたり返還を求める決議をあげました。
日本政府は昨年8月、「韓国併合」100年にあたっての首相談話で、韓国側に引き渡すことを表明。11月、横浜で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)会合に合わせ、日韓両外相が協定に署名しました。
日本共産党の笠井亮議員は22日の外務委員会で、「(儀軌は)朝鮮王朝の正統性を受け継いだ韓国と韓国民族のアイデンティティーに深く関わる記録遺産であり大事な文化遺産だ」と強調しました。
27日、採決に先立つ質疑では、韓国への文化財引き渡しに関する両国間の取り決めは自民党時代にも2度結ばれた事実を指摘。「朝鮮王朝儀軌等の文化財が韓国側に渡され、そのことを通じて日韓関係の発展に寄与することを心から願う」と表明しました。
外務委員会では、儀軌の引き渡しを求めて活動してきた韓国の「朝鮮王室儀軌還収委員会」の法相運営委員長、慧門事務局長、李素羅理事が傍聴しました。