2011年3月10日(木)「しんぶん赤旗」

350万年前 最古のエルニーニョ

サンゴ化石に直接的証拠


 これまで知られている中で最古となる350万年前のエルニーニョの直接的証拠がサンゴの化石から見つかった―。北海道大学と産業技術総合研究所、国立科学博物館などのグループが10日発行の科学誌『ネイチャー』に発表しました。

 エルニーニョは、太平洋赤道域の東部から中部にかけての水温が高くなる現象。数年ごとに発生しており、現在の気候システムに重要な役割を果たしていますが、予測される将来の温暖化でエルニーニョがどうなるかは、わかっていません。

 研究グループは、フィリピン・ルソン島で、350万年前のサンゴの化石を採取しました。この時期は、将来の温暖化した地球の環境に最もよく似た時代だったと考えられている鮮新世初期(約460万年前〜約300万年前)の真っただ中です。サンゴの化石に含まれる酸素の同位体比を調べることで、当時の水温などがどのように変動していたかを数週間単位で細かく知ることができます。

 調査の結果、70年間の変動の様子が明らかになりました。これを現在のサンゴのものと比較した結果、350万年前にも現在と同じ周期でエルニーニョが起こっていたことが確認されたといいます。

 これまで、鮮新世初期には太平洋赤道域の東西で水温の違いがなく、エルニーニョが発生していなかったとする説が提案されていました。今回の研究成果は将来の温暖化の影響を考えるうえで役立つといいます。





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