2011年3月2日(水)「しんぶん赤旗」
予算案 衆院通過
国民のたたかいと連帯し展望ひらく政党の値打ち
菅内閣になって初めての予算案が1日未明、与党の賛成多数で衆院を通過しました。
政権交代から1年余。政府・民主党は、自公政権を退場させた歴史的な国民の審判を踏みにじり、「自民党化」の変節を極限にまで際立たせました。
来年度予算案では、大企業・大資産家に減税をばらまき、年金削減など社会保障を切り捨てる一方、米軍「思いやり予算」にも手を付けられず、赤字国債頼みから脱却する展望などありません。
行き詰まりを反動的に打開しようと、自民党で増税旗振り役だった与謝野馨氏を閣僚にすえて増税法案作りをすすめ、農業を壊し、経済主権も明け渡す環太平洋連携協定(TPP)を推進。元代表がヤミ献金疑惑で起訴されても証人喚問にも応じない―。
どれを見ても自公政権と見まがうばかりで、「国民生活が第一」から「財界とアメリカの利益第一」への転落は目を覆うばかりです。
反省ない自・公
口を開けば「マニフェスト撤回を」と叫ぶ自民党はどうか。
消費税増税では、2011年度中に増税法案を成立させて国民の信を問うという首相に対し、総選挙をやってから増税を実施せよと順番が違うだけ。TPPでは本音は貿易自由化賛成ですが、国民の批判を恐れて、いっせい地方選を前に賛否を口にできません。
「早く私たちに追いついてほしい」(谷垣禎一総裁)と悪政をけしかけることしかできない姿は、国民にとってこの党の存在意義はもはや失われていることを示しています。
公明党も自公政権時代の悪政への反省はなく、「消費税含めた税制の抜本改革は必要」と増税路線では同じ立場。みんなの党も「TPP賛成の唯一の政党」と構造改革路線にまい進するだけです。
二つの悪政正す
これに対し、日本共産党の論戦は、悪政と対決し、国民の立場に立った解決の展望を指し示すものでした。
家計を温めて内需主導の経済再生をめざす総合的な賃上げ政策、後期高齢者医療制度の廃止など社会保障拡充への転換、食料主権にもとづく貿易ルールの確立、大企業・大資産家優遇と軍事費にメスを入れて財源をつくりだす―。どれも、財界とアメリカいいなりの二つの悪政をただす日本共産党だから示すことができる明快な解決策です。
JALの整理解雇問題では、安全運航を脅かすと追及し、国交相が社長を呼んで社内調査を直接指示する事態に追い込みました。
この問題で志位和夫委員長の質問をマスコミが、「経済財政危機と雇用不安の濁流渦巻く中で、経済再生と人間の幸福をどう調和させるか。歴史的な課題に一石を投じる質問だった」(「毎日」)と評したように、国民のたたかいと連帯した論戦が政治を動かす力となることを示しています。
新たなたたかい
来年度予算案をめぐるたたかいの場は参院に移ります。菅政権は数を頼んで成立させたものの関連法案成立の展望はまったく立っていません。それだけに、一部野党の取り込みや政権維持への策動もいっそう強まっています。しかし、財界とアメリカに付き従う政権・政党と国民との矛盾は避けられません。国民のたたかいと連帯して、政治を動かし、展望をひらく新たなたたかいの始まりです。 (深山直人)