2011年3月2日(水)「しんぶん赤旗」
主張
予算案衆院通過
この強行は断じて許されない
民主党など菅直人政権の与党が３月１日未明の衆院本会議で、２０１１年度予算案の可決を強行しました。予算は参院に送付してから３０日後には成立することだけを頼みに、参院での審議の見通しも、予算案と切り離した歳入法案など関連法案の通過・成立の見通しもないまま､強行したものです｡
くらしに役立たない
もともと１１年度予算案は、財政が「大変」といいながら、大企業と大資産家には２兆円もの減税をばらまき、米軍には「思いやり」予算まで注ぎ込む一方、国民には社会保障のあらゆる面での削減路線を押し付ける「くらしにも景気にも役に立たない予算」（日本共産党の志位和夫委員長）です。そうした予算を、日本共産党が提案した「組み替え」案などの十分な審議もおこなわず、数を頼みに強行したことは、絶対に許すことができないものです。
民主党が政権につき、概算要求から予算案の編成・審議までを一貫して手がける最初の予算となった今度の予算案は、民主党がどんな政治を目指しているのかが鋭く問われたものでした。厳しさを増す国民のくらしを支え、経済をどう立て直すかが問われました。
ところがその予算案は、財界の要求どおり大企業減税は実行し、米軍への「思いやり」は続けながら、国民には自民党政権と同じ社会保障切り捨て路線を強要するものでした。民主党が「国民の生活が第一」「対等な日米関係」などの選挙公約を１８０度転換したことは明らかです。政権交代を実現した国民が、民主党に幻滅し、怒りを高めているのは当然です。
しかも民主党など与党は､｢組み替え」提案などの十分な審議をおこなわず、質疑を打ち切り、採決を強行しました。歳入法案など予算関連法案は予算案と一体で審議するものですが、民主党はそれさえおこないませんでした。予算案だけ送られた参院側が、関連法案をどう扱うつもりかと政府に説明を求めているのも当たり前です。
日本共産党は「組み替え」提案で、総合的な賃上げ政策をワンパッケージ（一括）で実行し、雇用の確保・安定を図ること、社会保障の制度改悪をやめ削減から拡充に転ずること、「子ども手当」は増額分を保育所建設など総合的な子育て支援の予算に回し、安定した制度に修正することなどを求めました。国民のくらしを改善し、経済を立て直してこそ、財政再建の展望も開けます。「組み替え」提案をまともに検討もせず、予算案の衆院通過を強行した、菅政権と民主党など与党の責任は、きわめて重大というほかありません。
国民本位の予算実現へ
民主党など与党が、予算案を衆院通過させたあと、関連法案は一部の野党の賛成が得られるよう、「修正してでも」衆院を通過、成立させる動きを見せているのはまったく論外です、関連法案を修正するなら、予算案も修正するのが筋です。４月のいっせい地方選挙もにらみながら多数派工作を続けるというのでは、政策より政権の延命と党利党略を優先させるといわれても仕方がありません。
国民生活を破壊し、経済も財政も悪化させる政府予算案の問題点を引き続き追及し、国民のくらしを守る予算への転換を求めていくことが重要です。日本共産党はそのために力を尽くしていきます。
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