2011年2月26日(土)「しんぶん赤旗」
国会図書館スパイ問題
外務省の組織的関与は明白
背景に密約隠しの姿勢
国会図書館に出向していた外務省の職員が国会議員らの資料閲覧(レファレンス)状況を本省に報告していたことが18日公開の外交文書で明らかになり、外務省は24日、国会に提出した報告書で「猛省」を表明しました。この問題をあらためて検証しました。
公表された1998年1月7日付報告書に添付されたリストは「12・19―12・22接受分」となっており、定期的に報告されていたことがうかがえます。
また、報告書1枚目の左隅には回覧先が記入されており、総合外交政策局、アジア大洋州局、北米局、欧亜局など複数の課が指定されていました。
これらは、各省庁が国会質問対策で行う情報収集とは次元が異なります。外務省は、「閲覧の秘密」保護が絶対的な原則である図書館の職員という立場を利用して情報を得ていたからです。議員の立法活動を補佐する国会図書館からの情報横流しであり、三権分立にも反します。
外務省は24日の報告書で組織的な関与を否定しましたが、少なくとも、出向職員による本省への報告は18日に公開された以外にも存在しています。これらを含めて、真相究明が求められます。
この報告書は18日、「沖縄返還交渉関係」文書の一つとして公開されました。
沖縄返還交渉との接点は、リストの中で、沖縄返還に関する1971年6月9日の日米首脳会談についての資料提供要請に関する報告があることです。
実はこの日の会談で、日本側が「沖縄返還費用」を肩代わりするとの密約を合意していました。日米同盟に関わる密約が暴露されるのを恐れながら、国会議員を「監視」下に置いていたのが真相ではないでしょうか。(竹下岳)