2011年2月25日(金)「しんぶん赤旗」
薬害イレッサ 高橋議員質問
解決は、がん患者全体の利益になる
事実調べ 解決早く
“夢の新薬”といわれながら、激しい副作用で800人余の肺がん患者の命を奪った「イレッサ」―。
24日の衆院予算委員会で日本共産党の高橋ちづ子議員は、「イレッサ」訴訟をめぐる裁判所の和解勧告を拒絶する政府を批判し、被害者救済に踏み出すことががん患者全体の利益になると迫りました。
高橋氏は、日本肺癌学会などが出した和解勧告批判の声明を、厚生労働省自身が作成していたとされる問題について事実関係をただしました。
高橋 (和解勧告に従ったら)「新薬の承認がとれない」「薬事行政が萎縮してしまう」と関係者がいっせいに意見をあげるキャンペーン、世論づくりを厚労省自らが行ったものではないのか。こんなことは絶対に許されない。
細川律夫厚労相 そういうことがあったか調査して結果に基づき(対処を)判断したい。
5カ月というスピード審査で販売に至った「イレッサ」。高橋氏は、原告団長・近澤昭雄さんの次女で、29歳で肺がんを宣告された三津子さんの事例を紹介しました。
“副作用がなく素晴らしい薬”との情報を信じ、承認1カ月後の2002年8月に服用を始めたものの、副作用の間質性肺炎にかかり入院。横になることもできないほどの息苦しさで涙を流しながら闘病し、服用からわずか2カ月で息をひきとりました。
高橋 国の指示で「アストラゼネカ」から間質性肺炎の注意を喚起する緊急安全性情報が出されたのは三津子さんが亡くなった2日前だった。近澤さんが渡された使用にあたっての説明と同意書には、重大な副作用として「肺の炎症によるかぜのような症状」とあるだけだ。地獄の苦しみを味わう致死性の病気だと一般の人がどうして判断できるのか。問われているのは、副作用の情報があるのにその提供が不十分だったということではないのか。
細川厚労相は、「重大な副作用として間質性肺炎が記載され、それが死に至ることは医者なら当然知っている」と述べるにとどまりました。
高橋氏は、多発性骨髄腫の治療薬「ボルテゾミブ」では、医師が製薬企業や学術団体、メディアに副作用情報を伝え、各組織が独自のルートで情報公開し問題の共有が図られたことで被害を減らすことができたこと、「イレッサ」においては情報提供が消極的ではなかったかとの東大医科研の上昌広特任准教授の指摘を紹介。「対応が不十分だということを認めるのが次につなげるために大切。国民の命と健康を守るため、薬害を繰り返さないため、いっそうの情報公開を進めるなど国が責任を果たすべきだ」と主張しました。