2011年2月24日(木)「しんぶん赤旗」

生活限界 この上消費増税か

衆院予算委 佐々木議員の追及


 「もうこれ以上、負担できないという声が耳に入らないのか」。23日の衆院予算委員会で、菅政権がすすめる消費税増税を追及した日本共産党の佐々木憲昭議員。大企業減税のための消費税増税が庶民の生活も営業も破壊する問題点が浮かび上がりました。


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(写真)佐々木憲昭議員が質問する衆院予算委=23日

総選挙時の公約に違反

首相「付則に合わせる」と認める

 「税と社会保障の一体改革」の名で消費税増税をねらう菅政権。佐々木憲昭議員は、民主党が政権交代を果たした2009年の総選挙時の公約に違反すると追及しました。

 佐々木 民主党は2009年の総選挙時に消費税は「4年間上げない」と言っていた。間違いないか。

 菅直人首相 今も変わっていない。

 ところが菅内閣は、12年3月末までに消費税増税法案を成立させることを盛り込んだ09年度税制「改正」法付則104条を「守らなければならない」と述べるようになりました。

 佐々木氏は、同付則について、藤井裕久官房副長官が「修正するのがスジだ」(09年11月17日、衆院財務金融委員会)と述べ、菅首相も「今の政権の方針とは明らかに矛盾している。撤回、削除ということも考える可能性もありえる」(10年2月16日、衆院本会議)と述べていたことを指摘。国民新党も「09政権政策」で、「消費税は上げない」と公約していたことをあげ、その姿勢をただしました。

 佐々木 国会での答弁を変えたのか。

 首相 時間的経過のなかで変えたというのでなく、それ(=付則)にあわせることも可能になった。

 自見庄三郎金融相(国民新党) (消費税増税を含む)税と社会保障の一体改革を論議することまで否定していない。

 佐々木氏は、「『4年間は上げない』といっていたのに、2年たったら消費税をあげる法案を通すというのは、どこからみても明白な公約違反だ」と批判。大もうけしている大企業に減税をバラまく一方、所得がなくても払わざるをえない消費税を国民に押し付けるのは許されないと強調しました。

低所得者・高齢者に負担

医療・介護・年金…何も改善されず

 「低所得者や高齢者のなかに、もうこれ以上負担できないという声が広がっている」

 佐々木氏は、自公政権による増税や、医療、介護などの負担増、年金などの給付減を示したパネルを掲げて迫りました。

 佐々木 民主党政権になって、一つでも改善されたものがあるか。

 野田佳彦財務相 議論している。宿題として残っている。

 “増税や負担増・給付減で、改善されたものが民主党政権の1年半で一つもない”―このことを認めた野田氏に対し佐々木氏は、10年間で16兆円、国民1人あたり15万円も負担が増えたことを指摘。国民が政権交代で期待したのは、自公政権時代の福祉切り捨てや負担増からの転換だったはずだと述べ、「何ひとつ改善されていない。多くの国民は耐えられない状況だ」と批判しました。

 佐々木氏は、この10年間で高齢者世帯の収入が23万円も減り、一方で年10万円も負担が増えていることをあげ、消費税が15%になったら、さらに28万円もの負担増となると強調しました。

 佐々木 消費税を増税されたら生活できないという声が耳には入っていないのか。

 首相 社会保障の水準を維持しようとしたときは負担という形になってくる。

 維持どころか社会保障の改悪をねらう菅首相に対し佐々木氏は、「国民に負担を負わせ、黒字の大企業には法人税減税で負担を軽くする。こんなことは絶対に認めるわけにはいかない」と指摘しました。

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中小企業は転嫁できず

財務相「自己負担」認める

 中小企業はどうか。

 佐々木氏は、事業者は消費税を価格に上乗せする仕組みになっているものの、実際にはそれができず、下請け業者は親企業から低単価を押し付けられている、そのため「簡単に上乗せできない」と指摘しました。海江田万里・経済産業相も、政府の調査で、5割から7割の中小企業が自己負担していることを認めました。(グラフ参照)

 佐々木 「消費税込みでこの単価だ」と親企業から言われれば、原価を割っても引き受けざるを得ない。このような実態を知っているのか。

 経産相 ご指摘の点はしっかりチェックしている。

 佐々木 現実はそうなっていない。消費税増税は中小企業の営業も破壊する。

 さらに佐々木氏は追及します。

 佐々木 消費税を価格に上乗せできない業者はどこから納税するのか。

 財務相 自己負担になる。

 佐々木氏は、結局、事業者が生活を切り詰める、もしくは、従業員の給与を下げていると、中小業者の苦しい実態を指摘しました。

 さらに佐々木氏は、トヨタで2106億円、ソニー1060億円など、輸出大企業は輸出にあたってばく大な消費税の還付金まで受けとっていると指摘。野田佳彦財務相は、その額が国税だけで2兆5000億円(2008年)にものぼることを明らかにしました。

 佐々木氏は、与謝野馨経済財政相が会長を務めた自民党財政改革研究会が07年、消費税率を10%に引き上げる提言を出し、菅政権の社会保障・税一体改革「集中検討会議」メンバーの柳沢伯夫元厚労相が、消費税15%に言及していることを紹介しました。

 与謝野氏は「(集中検討会議では)まだ税率のところまで議論がいっていない」とごまかしましたが、佐々木氏は「菅政権のやっていることは大企業・大資産家には減税、庶民には増税、社会保障の削減は何一つなおさないということだ。このうえ消費税増税など、絶対に認められない」と批判しました。

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