2011年2月23日(水)「しんぶん赤旗」
主張
企業・団体献金禁止
本気ならまず受け取りやめよ
菅直人首相が衆院予算委員会での日本共産党の笠井亮議員などの質問に答え、企業・団体献金禁止の意向を改めて表明しました。民主党はそのための法案を、この国会中に提出するとしています。
一昨年の総選挙のさいの「マニフェスト」(政権公約)で企業・団体献金の禁止を公約しながら、実行を先延ばししてきたのは民主党です。しかも民主党が準備している法案は、全面禁止まで3年間もの「猶予」期間付きです。禁止が本気なら直ちに実行すべきであり、法律の改正を待たなくても自ら受け取りを拒否することぐらいは今すぐにでもできます。
献金再開で逆行した民主
民主党は企業・団体献金禁止の公約の実行を遅らせてきただけでなく、昨年秋には政権交代後いったん“自粛”した公共事業受注企業からの献金まで、再開しました。企業・団体献金禁止の方向に向かうどころかその拡大であり、公約に百八十度違反していることは明らかです。
営利が目的の企業が献金するのは利潤を拡大するためで、企業献金は文字通り、政治を金で買い、ゆがめるものです。献金の出し手である財界や大企業は、決して自分からは献金をやめるとはいいません。企業献金を廃止するには、政治の責任で禁止し、自ら受け取らないことが重要です。
民主党が一昨年の総選挙で企業・団体献金の禁止を公約したのは、小沢一郎元代表への公共事業の受注などの絡むゼネコンからの献金事件や、鳩山由紀夫前代表の偽装献金事件などで、国民から批判をあびたためです。小沢氏への「西松建設」からの偽装献金事件や、「水谷建設」からの裏献金が原資になった可能性も指摘されている土地購入・虚偽報告書事件は、現在も裁判が続いています。
民主党は、企業・団体献金禁止の公約を直ちに実行しない口実として、各党の協議が進まないことや、企業献金に代わる個人献金のめどが立たないことをあげてきました。しかし自らの案も示さず各党協議がすすまないというのは、責任転嫁そのものです。法律の改正前でも企業献金を受け取らないことはすぐにもできるのに、それさえしないから個人献金の見通しが立ってこないのです。
現に日本共産党は、一円たりとも企業・団体献金を受け取らず、国民の浄財だけで財政をまかなっています。企業献金禁止の公約実行を遅らせてきた民主党の口実は成り立ちません。
民主党が準備している法案が、全面禁止まで3年間の「猶予」期間をおいているのも、まったく論外です。企業献金が元凶となった政治腐敗は後を絶ちません。企業・団体献金の禁止に直ちに踏み出さないのは、腐敗政治を根本から正す気持ちがないからといわれても仕方がありません。
定数削減も民意締め出す
一部に、企業・団体献金を禁止する代わりに税金で賄っている政党助成金を増額するなどの意見があるのも認められません。政党支持にかかわらず負担を押し付ける政党助成金は全廃すべきです。
民主党が企業献金の見直しと一体で、衆院や参院の比例定数削減を持ち出していることも許されません。企業献金も比例定数削減も、主権者である国民の意思の政治への反映を妨げる点では共通です。
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