2011年2月20日(日)「しんぶん赤旗」
認可保育所も“詰め込み”
面積基準 切り下げ
東京都検討 0〜1歳児 4分の3に
東京都が認可保育所の0〜1歳児1人当たりの面積基準を国の最低基準よりも引き下げ、“詰め込み保育”を加速させる方針を検討しています。都が都児童福祉審議会・専門部会(1月27日)に提示した改定案では、0〜1歳児の最低面積基準を、国の基準に沿って定めた現在の都認可基準3・3平方メートルから2・5平方メートルに、約4分の3に下げるとしています。
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待機児対策を口実にした提案ですが、国が保育所の設置基準についての責任を放棄し都道府県まかせにする「地方主権改革」一括法案を先取りしたものです。
懸念の声が
都は3月の同部会で保育所の設備・運営基準について中間まとめをする予定ですが、保育関係者からは「面積基準緩和は子どもの安全や成長を保障するうえで問題」と懸念する声が広がっています。
都は2001年度から、独自施策として0〜1歳児1人当たり基準面積を2・5平方メートルにし、営利企業の参入も認めた「認証保育所」を実施しています。都は今回の提案について「認証保育所が10年の運営実績があり、子どもの安全確保などに支障をきたすことなく、適切に保育サービスが提供されてきた」などとしていますが、企業運営の認証保育所では、職員水増しと補助金不正など問題が続発しています。
十分な面積を
今回の都の方針について東京都保育問題協議会の大野秀子事務局長は「いまでさえ都内の認可保育所は『弾力化』で定員より多く子どもを受け入れ、新設の園では園庭がないところもあります。0歳児は寝返り、ほふく、はいはい、そして立ち上がって1歳になります。成長・発達を保障し安全に保育をするためには十分な面積が必要です。今回の案は、保育環境のいっそうの切り下げの突破口になりかねません」と批判しています。
今も低い基準 増設は国の責任で
日本共産党の大山とも子都議
現在の国の最低基準でさえ低すぎ、むしろ施設でも人員でも基準を引き上げることが求められています。それをさらに引き下げてしまおうという方針は誤りです。
東京都の案は、国の方針が決まってもいないうちからそれを先取りして最低基準をなくし面積基準を引き下げるというもので許されません。
待機児を解消するためには基準緩和や株式会社参入など誤った方針ではなく、認可保育園を思い切って増やす方向へ政策を転換すべきです。
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