2011年2月9日(水)「しんぶん赤旗」
子育て新システム 保育の公的責任放棄
高橋議員 認可保育所増設こそ
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日本共産党の高橋ちづ子議員は8日、衆院予算委員会で待機児問題が深刻となっている保育行政について取り上げました。現在、政府が検討している「子ども・子育て新システム」で何がもたらされるかを示し、公的責任で認可保育所をつくることこそ必要だと政府に求めました。
政府は現在、現行の公的な保育制度を解体する「新システム」を検討しており、今国会への法案提出を狙っています。現行制度では市町村が保育の実施義務を負っていますが、その義務をなくし、保育サービスの実施を市場任せにする中身です。
高橋氏は、新システムが、これまでの保育制度と大きく異なる点として、(1)保育料が、所得に応じた負担から、利用した長さに応じた「応益負担」になる(2)市町村の責任が後退し、利用者と保育所などとの直接契約になる―ことを指摘。市町村の役割は、「空き情報を紹介するだけの不動産業者のようなものになる」と追及しました。
政府の示す案では、保護者は市町村から、就労時間に応じて保育所を利用できる時間の認定を受けます。認定されても、保育所が足りなければ入ることはできません。また、認定時間を超えて子どもを預ける場合、非常に高額な保育料になる恐れがあります。
与謝野馨・少子化担当相は、「新システムで、現行制度より公的責任を後退させることは考えていない」と答弁。しかし、保育料が応益負担になることは否定せず、市町村の関与も、「(虐待事例など)優先的に利用を確保すべき子どもの入所のあっせん」にとどまり、入所を保障する制度的担保がないことが明らかになりました。
高橋氏は、「これは介護保険や障害者自立支援法と同じだ。『福祉も自己責任』の考え方を保育にも広げるものだ」と指摘。待機児の解消には、公的な責任で質の確保された認可保育所を増設するしかないと、政府に求めました。