2011年2月2日(水)「しんぶん赤旗」
社会保障・税の集中検討会議
顔ぶれ自公路線
政府・与党は1月31日、社会保障と税の「一体改革」を議論する社会保障改革検討本部の下に「集中検討会議」(議長・菅直人首相)を設置し、幹事委員として民間から10人を起用することを決めました。自公政権で厚労相を務めた柳沢伯夫氏(城西国際大学長)など、自公政権下で政策づくりの中心にいた顔ぶれが並んでいます。
柳沢氏は安倍内閣で厚労相を務め、社会保障費削減を推進しました。2007年1月には「子どもを産む機械」などと女性を表現。当時の民主党も首相の任命責任を追及し、罷免を要求していました。「社会保障を現状維持するのは極めて困難」(「毎日」1月31日付)との立場に立ち、「日本の(経済力低下を反映した)身の丈レベルに社会保障給付を合わせる手だても必要だ」と給付の削減を主張しています。消費税率は「15%近くに」上げるべきだと述べています。与謝野氏に続く、自民党有力者の取り込みです。
吉川洋東京大大学院教授は自公政権下で財界が主導した司令塔「経済財政諮問会議」のメンバー。福田・麻生内閣では「社会保障国民会議」で議長を務めました。清家篤慶応義塾長も同会議のメンバーでした。同会議は社会保障の「財源確保」を口実に、消費税率を最大13%引き上げる必要があるとの試算をはじき出しました。奥田碩トヨタ自動車相談役(当時)も同会議のメンバーでしたが、今回の「集中検討会議」には渡辺捷昭トヨタ自動車副会長が加わっています。
成田豊電通名誉相談役は、消費税の目的税化を求めた麻生内閣の「安心社会実現会議」の座長。宮本太郎北海道大大学院教授も委員でした。
大企業に有利で弱者に重い消費税によって社会保障をまかない、社会保障削減か消費税増税かの最悪の二者択一に国民を追い込む―。こうした立場からの政策を一貫して打ち出してきたのが、これらの人物が関与した自公政権下の会議でした。
今回の人事は、民主党政権が自公政権の路線にすっかり舞い戻ったことを象徴しています。
集中会議メンバー
社会保障改革検討本部の「集中検討会議」の幹事委員
【民間】成田豊電通名誉相談役▽渡辺捷昭トヨタ自動車副会長▽古賀伸明連合会長▽清家篤慶応義塾長▽宮本太郎北海道大大学院教授▽吉川洋東京大大学院教授▽堀田力さわやか福祉財団理事長▽峰崎直樹内閣官房参与▽宮島香澄日本テレビ解説委員▽柳沢伯夫城西国際大学長
【政府・与党】菅直人首相(議長)▽与謝野馨経済財政担当相(議長補佐)▽枝野幸男官房長官▽藤井裕久官房副長官▽片山善博総務相▽野田佳彦財務相▽細川律夫厚労相▽玄葉光一郎国家戦略担当相▽仙谷由人民主党代表代行▽亀井亜紀子国民新党政調会長