2011年1月24日(月)「しんぶん赤旗」

主張

インフルエンザ流行

予防と治療に万全の対策を


 昨年末から始まったインフルエンザの流行が年明け以降拡大を続け、一部で小中学校の学級閉鎖が広がるなど、社会的な影響も出だしています。

 季節性のインフルエンザだけでなく、中心は昨年大流行した新型インフルエンザです。年末からの異常な冷え込みは今後も続く見込みで、インフルエンザに対しても手洗いやうがいなどの予防とともに、早めの治療で重症化させないことが大切です。

重症化の危険もある

 厚生労働省は昨年12月、インフルエンザの流行シーズンに入ったと発表しました。その後も患者は増え続けており、とくに年明け以降は患者の発生が加速、北海道や東北、首都圏、九州などでの患者発生が目立っています。感染力が強い新型インフルエンザの患者と、毎年寒くなると患者が増える季節型のインフルエンザが混在しているのが特徴で、とくに昨年インフルエンザにかからなかった成人の患者が多くなっています。

 インフルエンザはウイルスに感染しておきる急性の感染症で、高熱や筋肉痛などを発症し、重症化すれば肺炎やインフルエンザ脳症を起こし、時には死に至る恐ろしい病気です。普通の風邪と比べても症状が重く、毎年の季節的インフルエンザでも多くの死者が出ています。昨年流行した新型インフルエンザではほとんどの人が免疫を持たなかったため、子どもを中心に大きな被害が出ました。

 重症化の危険もあるだけに、まずは感染を防ぐ予防が大切です。インフルエンザワクチンもありますが、あらゆるタイプのインフルエンザの感染を完全に防ぐことはできません。室内では加湿に心がけ、何より十分な睡眠や食事で免疫力を高めることが、どんな病気にたいしても予防になります。

 インフルエンザウイルスは感染した人のつばなどが目や口から体内に入る、せきやくしゃみの飛沫(ひまつ)を飲み込む、握手などで手から口へと運ばれる―などで広がるので、せっけんを使った手洗いやうがいの励行が重視されます。マスクは人ごみでは重要ですが、ウイルスを完全に防ぐことはできないため、頼りすぎは危険です。

 インフルエンザに感染した場合は安静にして、重症化を防ぐためできるだけ早めに医師の治療を受けることです。とくに体力の弱い乳幼児や老人には最大限の注意が必要です。感染が疑われる場合、広げないことが大切で、できるだけ外出を避け、せきが出る場合はマスクを使用するだけでなく、ひじなどで口を覆って飛沫を飛ばさないなどの「せきエチケット」が求められます。

不安にこたえる責任

 昨年の新型インフルエンザの大発生では、小中学校の早めの臨時休校や学級閉鎖が流行を食い止めるうえで効果があったと指摘されました。その半面、両親とも働いているなどの事情で、学校や保育園が休みになっては困るという家庭もあります。臨時に子どもを預かる体制をつくるなど、国民の立場に立った手厚い対策が国や自治体など行政に求められます。

 予防や早めの治療は一人ひとりの責任が大きくなりますが、国民に情報を知らせ、手遅れにならないようにするのは行政の責任です。流行の拡大を迎え、政府は国民の不安に十分こたえるべきです。





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