2011年1月13日(木)「しんぶん赤旗」
93歳母、72歳息子を世話…
障害者、親が介護9割
進む高齢化 体力限界
「きょうされん」調査
自宅で暮らす障害者の介護を担う人(介護者)の約9割は障害者の親で、うち母親に多くの負担が集中し高齢化も進んでいることが、全国の共同作業所などでつくる団体「きょうされん」の調査でわかりました。
調査は昨年、きょうされんに加盟する障害者通所施設などで働く障害者を対象に、在宅での介護者の実態などを把握する目的で実施。このテーマでの調査は初めてです。約4120人の介護者が回答しました。「介護」には身体障害者への介助に限らず、知的障害や精神障害にたいする援助や支援なども含みます。
介護者の64%が母親で、父親は25%。介護する母親の半数が60歳以上と、高齢になっても主に介護負担を担っていることがわかりました。なかには94歳の父親が精神障害のある58歳の娘を、また、93歳の母親が知的障害などのある72歳の息子を介護している例もありました。
両親の高齢化が進んでいるにもかかわらず、約半数が居宅支援サービスを利用していないこともわかりました。一方で、介護者の85%が、精神的負担(69%)、身体的負担(52%)、経済的負担(41%)など(複数回答あり)を訴えています。
介護者の64%が負担や不安について書き込みました。「常に支援が必要なため、負担やストレスになる」「親になにかあった時が心配」「親亡き後の生活を考えると不安でたまらない」「親が高齢になったため、精神的・体力的に限界」など痛切な訴えが多く寄せられています。
自立支援法の欠陥明らか
きょうされんの小野浩政策・調査委員会副委員長の話 高齢の親が子どもをみている状況がこれほどあるのかと驚きました。もはや親の介護負担は限界に達しています。今回の調査は改めて障害者自立支援法の問題や欠陥を明らかにしたといえます。同法はサービス選択の保障や自立の支援を掲げながら、家族介護の実態と負担はまったく解決していません。原因は、応益負担とともに障害程度区分による抑制や支給量制限にあります。子どもが成人に達しても親が支えるものという考え方を法律や制度、行政体質から払拭(ふっしょく)し、サービスをいつでも、どこでも、だれもが利用できるように公的制度として確立することが求められています。
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