2010年12月9日(木)「しんぶん赤旗」

「綱領・古典の連続教室」 第1回

不破社研所長の講義


奥深い/面白い/各地で受講

 「古典はむつかしいという印象がありましたが、『単位や人名がわからなくとも気にしないで』といわれて気が楽になりました」「学生時代にはよくわからなかったのですが、この教室に参加すれば深く理解していけそうです」―。党の歴史上もっとも大きな学習会として7日から始まった「綱領・古典の連続教室」は、党本部の会場をはじめインターネット通信で視聴した各地の人たちから、第1回の「古典教室」で科学的社会主義の古典を学ぶ楽しさ、面白さを実感できたという感想がよせられました。『賃金、価格および利潤』をテキストに講師は不破哲三社会科学研究所所長。全国の視聴の様子、受講者の感想を紹介します。

面白い/マルクスとエンゲルスは「清水次郎長」と同じ時代の人

 不破さんは、2中総にもとづき、綱領的・世界観的確信の学習、綱領の根底にある科学的社会主義の世界観を身につける大切さを語りました。

 講義の前半では、「古典」とは何か、マルクス・エンゲルスとはどんな時代の人かなどについて、後半でテキストの『賃金、価格および利潤』の第6章〔価値と労働〕について解説しました。

 不破さんは「古典」とは何かと問いかけ、ヨーロッパのルネサンス期にギリシア・ローマ時代の文化にあこがれたように、私たちがマルクス、エンゲルスの理論を私たちの世界観の源流として位置づけているという意味で使っていると説明。「古典」という言葉のマルクス自身の二つの使い方にも言及しました。

 「マルクスらの生きた時代を知ると読んでも情が移る」とのべて会場の笑いを誘いながら、19世紀の時代をホワイトボードに年表を書き出していくと、参加者は食い入るように見つめます。ヨーロッパと日本の歴史を対照しながら、エンゲルスが生まれた同じ年に日本では清水次郎長が生まれ、ほぼ同じ時期に亡くなったと紹介すると「へぇー」という驚きの声が。インターネット通信で徳島で視聴していた男性は「時代背景がよくわかった。次郎長と同じ時代だという話はおもしろかった」と話しました。

 古典を読むときぶつかる独特のむつかしさについて、不破さんが、当時のヨーロッパでは常識でもいま分からない出来事があるのは当たり前で、「あまり気にしなくていい」と話すと、安心した表情を浮かべる若者も。ヨーロッパの複雑な度量衡の単位についても「だいたい見当がつけばいい」とアドバイスしました。

 不破さんは、自分が古典を読み始めた中学生のころ、マルクスとエンゲルスが同じ人物だと思っていた古本屋の主人のエピソードを紹介し、「当時はそんななかでも古典を読み始めたもの。安心して古典に挑戦してほしい」と語りかけました。

 『賃金、価格および利潤』がインタナショナル(国際労働者協会)の中での、労働組合やストライキについての誤った理論をただす目的で書かれ、ここには2年後に出版した『資本論』で展開したエキスがみごとに詰まっていると、この本の特徴と魅力をたっぷりと解説しました。新潟の男性は「今では、労組=賃上げということは当たり前ですが、当時はそうでなかったということに驚き、理論が大事であることを学びました」と感想を寄せました。

 本部会場では、不破さんの古典研究の成果が、分かりやすい言葉でちりばめられた講義に、引き込まれるように聴き入り、テキストにマーカーを走らす姿も見られ、肩ひじはらない語り口と体験・エピソードを交えた話に、会場から何度も笑いがおこりました。


各地で受講

奥深い 価値論―正規・非正規労働者の例あげた説明「ピンときた」

青年が集まり感想出し合う/群馬

 テレビ画面に不破哲三・社会科学研究所長が映ると、「わー、不破さんだ」と声があがります。7日、雨がそぼ降る群馬県の日本共産党委員会で「綱領・古典の連続教室」が開かれました。

 食い入るようにテレビを見つめる12の若い瞳。不破氏の言葉に時折うなずきながらメモをとります。

 「教室」後、民青同盟員と青年党員で集まって感想を交流しました。

 高校2年生の女性は「古典って何をやるのか全然イメージがわかなかったけど、今日マルクス、エンゲルスの本のことだと知った。大事な勉強なんだなと思った」とはにかみました。

 パーカーを羽織った男子学生(19)は「商品の価値は賃金の高さによって変わるわけじゃないというのが、同じ生産ラインにいる正規、非正規の労働者の例をあげて説明してくれたのでピンときた。非正規に置き換えて働かせてもうけをためこんでいるのはすごく不平等だと思う」と話しました。「提供してる労働力は同じだもんね」と民青同盟県委員長の伊藤達也さんがこたえると、参加者はうなずいていました。

 「資本主義は違法行為をしなくても利潤を得る、というのが面白かった」という男性(26)は、「おれたちがまじめに働いて生活している中で、大きくもうけている人間がいる。そのメカニズムが知りたい」と今後の「教室」への期待も込めました。

 11日にも、当日参加できなかった若者むけにオンデマンドで「教室」を開講して交流会を開きます。

みんなで学び和気あいあい/栃木

 栃木県宇都宮市の青年支部は7日、3人が、野村節子県議宅で不破さんの講義に聴き入りました。

 「連続教室」の中継が始まると、「始まる、始まるよ」と参加者同士で声をかけ合いながら、画面にじっと見入りました。

 合間の休憩には、「1人だけでなく、みんなで学ぶと楽しい」「これからも、がんばって学習していきたい」と和気あいあいとした雰囲気になりました。

 終了後、次の感想が出ました。「マルクス、エンゲルスが生きた時代やその背景、同時代の日本での出来事を学んで、日本が、いまだ鎖国で龍馬の時代に、外国では労働組合ができていたことには驚いた。しかし、組合があっても、賃金引き上げの要求をするのが当たり前という認識はなかったこと、そのためにマルクスが活動していたのかと思うと、本当に今日の社会に生きているなと感じた。1人の人間の理論が現代にいたっても、尊敬されているというのは本当に偉大な思想家だな〜」「物と物を交換したとき、二つの物に共通するモノサシが?労働?だというのはすごいと思った」

古典の学習に新鮮な感じが/愛媛

 「不破さん! よくわかりました。学ぶ一年になりそうです」「あらためて古典を学ぶことに、新鮮な感じがした」――。党愛媛県委員会事務所「教室」には、23人が参加しました。

 参加者は、開始前から次々にテキストの古典選書を購入。「古典を本格的に学ぶのは学生時代以来。教室がとても待ち遠しかった」「ついていけるか心配だけれど、みんな一緒だから心強い」などと話し合っていました。

 講義が終わると、「笑いを誘うような、かみくだいた解説で、楽しく学習できそうです」「時代背景などの話もあり、理解を深める上で参考になりました」などと感想を出し合いました。真剣な表情で聴き入っていた余土・垣生支部長は「久しぶりに頭を使いました」と話していました。

背景ふまえて楽しく学べた/札幌

 札幌豊平・清田・南地区の「教室」には、ベテラン党員に交じって大学生、労働者など3人の青年が受講しました。

 大学生の女性は、「最初、経済の話だし、本の文章を見たらさらに難しいと思ったが、不破さんの話を聞くと、少しだがわかったような気がした」と、充実感を味わっていました。青年労働者は、「前の職場はめちゃくちゃ働かされて給料は安かった。不破さんの講義を聞いてそのことが思い起こされ、当時マルクスが解明したことを身近に感じ、理解できた気がします」と話していました。

 常任委員は、「昔、難しいと思いながら読んだ本ですが、歴史の流れ、背景をふまえて商品の価値を分かりやすく説明していただきました。楽しく学べる『教室』です。若い人たちがどんどん参加できるようにしたいです」。同地区では8日も各行政区で「教室」が開かれました。

勤めを終えて参加する人も/東京

 東京・千代田地区の事務所では、40人が受講しました。勤め先から会場に直行し、教室がはじまる前に急いで腹ごしらえをする人もいます。中継画面で講師の不破さんが紹介されると、党本部の会場に合わせて拍手で迎えました。

 途中、不破さんが、ホワイトボードに簡単な年表を書くのに合わせ、受講者はノートに書き込みながら熱心に耳を傾けました。

 講義終了後、民青同盟千代田地区委員会のメンバーら6人が、感想を交流しました。

 労働組合書記として働くTさんは、「古典が書かれたころの社会的な背景をつかめたのがよかった。資本主義の道に日本がふみだすのがヨーロッパに比べてずいぶん遅れて、それが“ルールなき資本主義”といわれる日本の現状に影響しているのかな。がんばってヨーロッパなみのルールを確立しないといけない」といいました。

 区内の職場で働くIさんは「私、『古典とは何か』の説明のあたりから“迷子”になっちゃった。やっぱりテキストは事前に読んでおかないといけないですね」と反省を口にします。

 大学で経済学を学んでいるKさんは、テキストは一度読んだことがあるといいます。「自分のなかに、しっかりした軸をつくりたいと思いました。“この千年で一番の思想家”であるマルクスの考え方を、自分なりに深めていきたい」と抱負を語りました。

 「これからも教室のあとで感想を交流し、わからないところを出し合って集団的に学んでいきたいね」と話し合いました。





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