2010年10月31日(日)「しんぶん赤旗」
医療基本法の制定へ シンポ
“患者の権利 国に守らせよう”
医療と憲法の間を結ぶ医療基本法はなぜ必要なのかを考えあおうと30日、東京都内でシンポジウム「医療基本法の制定を!」が開かれました。主催は医療基本法制定推進フォーラム。
「基本法」とは国政の重要な分野について国の制度、政策に関する基本方針などを示した法律で、改廃分を含め40あります。
基調講演をした日野秀逸東北大学名誉教授は、「医療は国民生活や国政のうえできわめて重要な業務・課題であり、患者の権利を基底にすえ、その権利を政府に体系的に守らせるのが基本法の趣旨だ」と指摘。全国的な「医療崩壊」もあり、「医療提供側、患者側の双方から基本法の議論や制定への環境、条件が熟してきた。憲法の基本的人権、平和的生存権から出発するのが重要だ」と基本法制定の意義をのべました。
つづいて6人が報告。NPO「がんと共に生きる会」の海辺陽子副理事長は、「患者の声を医療政策に反映させるために早期の基本法制定を待ち望んでいる」とのべました。
尾身茂自治医科大学教授は、「日本では生命の尊重と個人の尊厳という医療と介護のあるべき姿に関するグランドデザインを描くことがほとんどやられていない。本質的な医療サービスのあり方についての議論が重要だ」と指摘しました。
民主党、公明党の国会議員のあいさつにつづき、日本共産党の小池晃政策委員長が「患者の権利を守るために、憲法25条にもとづく基本法の制定に力を尽くしていきたい」と表明しました。
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