2010年10月30日(土)「しんぶん赤旗」

障害者熱く 大フォーラム

「あきらめないよ」


 冷たい風が吹く中、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂は満場の参加者の熱気に包まれました。29日、「今こそ進めよう! 障害者制度改革 障害者自立支援法廃止と新法づくりを確かなものに」をメーンスローガンに開催された全国大フォーラム。手作りのゼッケンや横断幕を手に全国各地から1万人を超える人たちが集まりました。(岡素晴、西山綱男)


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(写真)「私たち抜きに私たちのことを決めるな」と、国会請願デモをする障害者ら=29日、東京・千代田区

 前日の雨は上がったものの、厳しい冷え込みの中のフォーラムとなりましたが、会場を埋め尽くした参加者は舞台上の仲間の発言などにさかんに拍手を送っていました。その後のデモ行進でも、元気にシュプレヒコールを唱和しながら歩いていました。

 熊本市から参加した男性(55)は「地方だとこんなに人が集まることがないので、やっぱり大きな集会になると、思いが集まって要求が強くなりますね」と感動したようす。一緒に参加した女性は「運動こそが一番という話を聞いて、息の長い、あきらめない運動が必要だとあらためて思いました」と語りました。

 埼玉県内の障害者施設で働く女性は「障害者のための法律をつくるのに当事者抜きに決められたことが多いのはおかしい。当事者のいろいろな意見を聞いて新法をつくってほしい」と話しました。

 脳性まひの障害があり、電動車いすで参加した男性(38)は「もっとヘルパーさんを確保して、ヘルパーさんの生活も安定できるよう財源の確保をしてほしい」と訴えました。

 「作業所の工賃を上げてほしい。1万円では食っていけない」。開口一番、こう話したのは東京都府中市の作業所でステンシル(型版)を使って、ハンカチなどを作っている男性(39)。車いすマラソンで10キロメートル完走したこともあるといい、「障害者がスポーツに親しめる環境や、ノンステップの公共交通を整えるなど、要望もある。新しい制度に取り入れられるように声をあげていきたい」と元気いっぱいでした。

 全国心臓病の子どもを守る会の事務局長を務める下堂前(しもどうまえ)亨さんは「制度改革の議論の中で、難病や慢性疾患患者の対策について具体的にはふれられていません。目に見えない障害の人たちの問題を理解してもらえるように運動していきたい」と話しました。

「応益負担」は夢奪う

8団体代表が発言

 全国大フォーラムでは、障害者8団体の代表が、それぞれの取り組みや制度改革への要求について発言しました。

 このうち、「障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会」の中村尚子さんは、障害者自立支援法を延命させる「改正」法案の動きについて触れ、「再び出されるかもしれない『改正』法案は、ていねいな支援が必要な障害のある子どもたちと保護者から夢を奪います」と指摘。「負担軽減されても『応益負担』が残る限り、週2回の療育の利用で毎月3000円から1万円以上の利用料を支払っている保護者がいます」と告発しました。

 関連して、知的障害のある子どもの入所施設の職員の植田誠彦さんも発言。「現在の契約制度のもとでは、契約した保護者だけに責任を持たせ、行政が子どもたちに責任を持たなくなってきた」と現場の実情を報告し、「現場の声を新法に反映させたい」と決意を述べました。

 また、日本難病・疾病団体協議会を代表して、線維筋痛症友の会の橋本裕子代表が登壇しました。

 橋本さんは「多くの難病患者は見た目では障害と判断されず、身体障害者手帳の取得が困難です」と話し、医療費負担の軽減、ホームヘルプサービスの充実、身体障害者手帳の取得の改善などを求めました。





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