2010年10月7日(木)「しんぶん赤旗」

公立高校授業料 留年生も「原則不徴収」

20道府県は完全実施

日高教が全国調査


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(写真)独自調査の結果を発表する日高教の坂本副委員長(中央)=6日、東京・港区

 公立高校の授業料無償化制度が開始された後、各自治体に任されていた留年生への対応について、全都道府県が「原則不徴収」の立場をとっていることが6日、日本高等学校教職員組合(日高教)の独自調査でわかりました。

 授業料無償化制度導入後の各自治体の対応について調査し、全都道府県教育委員会から回答を得ました。

 留年生について、「完全不徴収」と回答した自治体は20道府県、「原則不徴収」は18都県でした。

 9県が「徴収する」と回答しましたが、「病気・休学による留年から徴収する」と回答した自治体はほとんどなく、同組合は「原則不徴収に近いもの」としています。

 すでに卒業した人が再入学した際の授業料については、「不徴収」は28道府県、「徴収」は19都県と分かれました。

 授業料減免制度については、従来の制度を存続させている自治体が40都道県ありました。京都では授業料不徴収にともない減免制度を適用外にし、奈良や大阪では廃止しています。

 多くの自治体が負担していた学校納付金の口座振替手数料は、授業料不徴収にともない保護者負担を強いている傾向があることがわかりました。

 日高教の坂本次男副委員長は、「家庭や仕事の事情でやむを得ず留年となる場合もあります。山形や栃木では2010年度は完全不徴収ですが、11年度は徴収する方向で検討中と答えています。自治体によって教育条件に差が出ないよう、国の責任で一律完全不徴収の基準を示してほしい」と話しました。

定時制通信制では負担増も

 公立の定時制通信制高校の第1学年徴収金の平均は約7万3000円を超え、公立高校の授業料無償化によって軽減された額の2倍以上であることが6日、日本高等学校教職員組合(日高教)の独自調査でわかりました。日高教が同日発表しました。

 全国の定時制通信制高校を対象に第1学年で徴収している金額を調査しました。19都道府県140校(定時制114校、多部制11校、通信制15校)から回答を得ました。

 修学旅行積み立てや交通費をのぞく全体の平均は7万3741円で、授業料無償化で軽減された額(3万2400円)の2倍以上でした。

 これまで、授業料の減免制度を受けていた生徒の中には授業料の減免制度と同時にPTA費や生徒会費の免除がなくなり負担が増えたケースも明らかになりました。

「無償化さらに」提言発表

 日高教は6日、独自調査を受け、「教育の無償化への動きをさらにすすめるための緊急提言」を発表しました。

 (1)給付型奨学金事業の本予算化と「高校版就学援助制度」を実現する(2)全国一律の基準で授業料完全無償化を実現する(3)入学検定料・入学金を無償化する(4)教科書代を公費負担とし、夜間定時制の給食費を無料化する―の四つの柱をあげ、国民的な議論が行われることを呼びかけています。





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