2010年9月14日(火)「しんぶん赤旗」
泉南アスベスト訴訟
原告、和解勧告求める
大阪高裁に 国は責任を償え
大阪府南部の泉南地域のアスベスト(石綿)紡織工場の元労働者やその家族、近隣住民がアスベストによる深刻な健康被害を訴え、国に謝罪と賠償を求めている「泉南アスベスト国賠訴訟」で、原告団と弁護団は13日、大阪高裁に早期全面解決を求め、和解勧告を要請する上申書を提出しました。
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村松昭雄弁護団副団長は「国による公式認定から70年、原判決の違法認定(時期)からも50年が経過している。原告の失われた命や健康を取り戻すことができない以上、加害者の国に求められている唯一の償いは、加害責任を認めて謝罪し、損害を賠償することです」と強調。11月17日の第1陣訴訟・控訴審口頭弁論で和解勧告を行うよう大阪高裁に求め、国の1次責任を断じた一審判決をふまえ、原告全員(1陣、2陣計61人)の早期解決への協議の場にしたいと述べました。
原告で、父を亡くした南和子さん(67)は「原告は重症化し、限度を超えて危険な状態になっている人が何人もいる。息切れやせきやたんとしんどさが進んでいきます。不安や心配ばかりの毎日ではなく、早期解決をみんなが望んでいます」。
夫を亡くした佐藤美代子さん(65)は「11月まで命がもつかわからない原告がいます。私の夫も『3カ月から半年』の余命宣告を受けて9日目に死んだんです。苦しんでいるみんなのために一日も早く国は和解をしてほしい」と話しました。
同日、原告の岡田陽子さんと石川チウ子さん、弁護団が上京し、内閣官房、厚生労働、環境、法務、財務各省に要請。原告側は年度内の解決をめざして団体署名や国会要請の取り組みを強めていくことにしています。