2010年7月28日(水)「しんぶん赤旗」
学童保育にも「経済的困難」の影
「保育料高く入れない」
施設数は増加したけれど…
潜在化する待機児童
全国連協が調査結果発表
全国学童保育連絡協議会は先に、今年の学童保育実施状況調査結果を発表しました。70人を超える大規模学童保育の分割が進んだこともあり、施設数の増加は過去最大。一方で入所児童数は微増にとどまっています。
70人超す施設の分割が進んで
全国の学童保育施設数は1万9744カ所(5月1日現在)で、昨年比1269カ所増(6・9%増)です。国が70人超の大規模施設分割の予算措置をしたことで分割が進み、施設数の増加につながりました。
70人超の施設は3年間で1046減り、1308施設になりました。しかし、40人以上の大規模施設は49%と約半数で、大規模化はまだまだ解消されていません。大規模化を避けるために、「近所に祖父母がいれば入所対象にしない」など入所条件を厳しくした例もあります。
大規模化は「事故やけがが増える」「騒々しく落ち着かなくなる」「指導員の目が行き届かない」など弊害が指摘されており、改善が求められています。
小学校区の3割 学童保育がない
入所児童数は、2919人(0・4%)増の80万4309人と微増でした。政府の「子ども・子育てビジョン」(1月29日閣議決定)の「5年間で30万人増やす」という目標からみても大きな遅れです。学童保育のない小学校区は依然として3割あり、保育所を卒園した子どもの6割しか入所できていません。
入所児童が増えない理由として今年注目されているのが、経済的な理由で入所しない、退所するというケースです。
同協議会が入所児童数10人以上減少の421市町村に聞き取りしたところ、17市町が「経済的負担が理由(保育料が高い、保育料の値上げ)」を挙げました。学童保育は、所得に応じた料金体系や低所得家庭への保育料減免のない自治体も多く、「特に母子家庭などで、必要性が高くても入所できない家庭が少なくない」のが現状です。
自治体が把握している待機児童は約6200人です。待機児童を把握していない自治体が6割あり、経済的理由や入所資格要件厳格化などで申し込みを断念したケースは待機児童に含まれません。「潜在的待機児童」が相当数いることは明らかです。
同調査は、「自治体によって設置率(小学校数比)に大きな差がある(さいたま市は154%、川崎市は12%)」「児童一人あたりの床面積が狭い」「指導員の働く条件が劣悪で、3年間で半数が退職」などの実態も紹介しています。
保育料減免など制度拡充を
同協議会事務局次長の真田祐(ゆたか)さんは、「国民基礎調査などから推計すると、母子家庭の低学年児童で8万人以上が利用できていません。母子家庭以外でも経済的理由が利用の障害になっているケースが増えていると考えられます。国の制度として保育料の減免を行うことが必要です」と指摘します。
最低基準がなく予算措置少ない
同協議会は、国の制度の問題点として「公的責任があいまい」「最低基準がつくられていない」「予算措置が“奨励的な補助金”というあいまいな性格で、しかも実際に必要な金額と比べて非常に少ない」をあげ、国の制度を抜本的に改善・拡充することを求めています。
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