2010年7月22日(木)「しんぶん赤旗」
「新制度」の骨格提示へ
政府、後期医療の根幹残す
高齢者に差別と負担増を強いる後期高齢者医療制度の根幹を残す「新制度」の骨格が、23日の高齢者医療制度改革会議で示される方向です。
民主党政権は、公約に反し後期高齢者医療制度の廃止を先送りし、2013年度に創設をめざす「新制度」の議論を同会議で行ってきました。23日に「新制度」の骨格を示した中間とりまとめ案を議論。来年の通常国会に関連法案を提出する意向です。
「新制度」では、約8割の高齢者が国民健康保険(国保)に加入することになる見込みです。サラリーマンとして働く高齢者やサラリーマンの家族に扶養される高齢者は、組合健保や協会けんぽなどの被用者保険に加入します。
国保では、現役世代と高齢者の財政運営を切り離して別勘定にします。65歳(または75歳)以上の高齢者は都道府県単位、それ以下は市町村単位の財政運営とします。その上で、高齢者の医療給付費の1割を高齢者自身の保険料でまかなう方向です。
高齢者医療の財政を別勘定にして一定割合を高齢者の負担にすれば、医療技術の進歩などで医療費が増えるにつれて、高齢者の保険料が際限なく上がります。保険料アップか医療費抑制かの二者択一を高齢者に迫る仕組みです。
「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただくことにした」(厚労省老人医療企画室室長補佐、08年当時)という後期高齢者医療制度の仕組みの根幹を残すものです。