2010年7月17日(土)「しんぶん赤旗」
最賃が生活保護下回る
12都道府県で「逆転現象」
厚生労働省は14日、最低賃金で働くよりも生活保護での収入が多い「逆転現象」が12都道府県で起きているとの調査結果を公表しました。時給換算のかい離額は5〜47円に上ります。2009年度の最低賃金アップで逆転現象が解消した千葉、秋田両県が再び逆転。また、かい離額は生活保護費の上昇により両県を含め11都道府県で拡大しました。かい離が最も大きいのは神奈川の47円で、東京の40円が続きました。
厚労省は14日、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)に調査結果を提示。中央最低賃金審議会では、政府目標の時給800円の達成とあわせて、「逆転現象」の早期解消が課題となります。
08年7月に施行された改正最低賃金法は、生活保護費を上回る水準への引き上げを規定しています。最低賃金額や、「逆転現象」の解消期限は、中央審議会が示す目安をもとに都道府県ごとの地方最低賃金審議会が毎年決めています。
モラルハザード(倫理の欠如)を防ぐ観点から、生活保護を上回る水準に引き上げるよう最低賃金法が定めていますが、生活保護が家賃値上がりなどを背景に上昇する傾向にあるため、「逆転現象」は完全には解消されません。
この「逆転現象」の解消期限は、北海道が12年度、青森と宮城両県が11年度、千葉、秋田両県は今後新たに設定します。他の7都府県は10年度が期限です。神奈川、東京は近年例がない大幅引き上げが必要となります。
世界的不況による影響で09年度に大阪、兵庫など7府県で期限が延長された経緯があります。14日の中央審議会では労働側委員が「今年は延長する状況になく、合意した期間で解消すべきだ」と強調。一方、経営側委員は「先行きには不透明感がある」とし、今後の審議で期限の再延長と最低賃金引き上げ幅の縮小を求める方針です。
次回の審議会は20日に開く予定。
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