2010年7月15日(木)「しんぶん赤旗」
点字訴状で口頭弁論 名古屋地裁
障害区分「4→1」 取り消しを
名古屋市熱田区の全盲の障害者・梅尾朱美さん(59)が、障害程度区分認定を不服として、同市を相手に認定取り消しを求めた裁判の第1回口頭弁論が14日、名古屋地裁(増田稔裁判長)で開かれました。
梅尾さんは、「視覚障害者も点字で裁判を起こせるようにしたい」と、弁護士などの支援を受けずに、自ら全10ページの訴状を点字で作成。同地裁へ提出し、受理されました。
原告側によると、全文点字の訴状提出は全国で初めてのこと。市側も答弁書など一部を点字で用意しました。
梅尾さんは2006年に障害程度区分「4」と認定されたのに、09年には前年度の福祉サービス利用量が少なかったなどを理由に、最も軽い「1」へ下げられました。
法廷で梅尾さんは、「全盲なのに視力を『普通』と評価するなど、実態とかけ離れた認定で、とうてい納得できない。こんなやり方は福祉行政をおとしめる」など意見陳述。市側は、公平に認定したとして、請求棄却を求めました。
閉廷後の記者会見で梅尾さんは、「点字の訴状が受理してもらえるのか不安でしたが、さまざまな方に助けられ、ここまでこれました。障害者を支えていこうという社会の流れができ始めているような気がします。その当事者になれたことを誇りに思います」と涙ぐみながら話しました。
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