2010年7月2日(金)「しんぶん赤旗」

後期医療 新制度案に怒り

「うば捨て山」は変わらず


 厚生労働省が6月23日に明らかにした後期高齢者医療制度に代わる「新制度」の骨格に、「差別の根幹を変えていない」「重ね重ねの裏切り」と怒りの声が上がっています。今回の参院選で菅直人首相は「歴史の針を前に進めるのか、それとも戻すのか」(6月30日)と訴えていますが、「新制度」の中身は、まさに自公政治への逆戻りです。

 「年齢で区切って高齢者だけを別枠に入れる。これでは後期医療制度と変わらない」。東京都高齢期運動連絡会事務局長の藤井正彬さん(70)は怒ります。

 厚労省が同省の案として示した新制度の骨格では、高齢者のうち、サラリーマンや扶養されている人は被用者保険に加入。それ以外の約8割の人は、市町村が運営する国民健康保険(国保)に加入します。

 問題は、国保加入者を一定の年齢で区切って保険財政を別にすることです。65歳での線引きが検討されており、65歳以下は現行通り市町村が運営するのに対し、65歳以上は都道府県単位で財政運営します。高齢者の医療給付費の一定割合を高齢者自身の保険料でまかないます。保険財政を高齢者だけ別にして、一定割合を高齢者の保険料でまかなうのは後期医療制度と同じ。高齢化で医療費が増えるにつれ、保険料も青天井に上がります。

 藤井さんは、「病気になりやすい高齢者だけを別財政にすれば、保険料が急激に上がる。民主党はそこを改めるといっていたはず。これが『新制度』とは、みんな怒りますよ」といいます。

 全日本年金者組合の篠塚多助委員長は「なぜ別枠に固執するのか。保険料が上がるのがいやなら医療費を抑えろ、と粗診療を迫って医療費を抑えるためとしか思えない」と「うば捨て山」の本質を指摘します。「後期医療は『廃止』したと見せかけて、本質は変わらない制度にするものです」

 神奈川・鎌倉市の加藤俊夫さん(80)は、後期医療制度の導入の時に民主党国会議員の勉強会に招かれて話をしたことがあります。

 「当時、民主党は共産党と一緒に廃止法案を出していて、いま大臣政務官になった山井和則議員など張り切っていましたよ。政権に就いてやってくれると思ったら、見事に裏切られた。民主党内閣の正体見たり、です」

本質見抜いた共産党に期待

 日本共産党は、後期医療制度はすぐに廃止し、元の老人保健制度に戻し、高齢者の窓口負担は無料化することを訴えています。

 藤井さんは、「後期医療導入の時も、いち早く“うば捨て山”の本質を見抜いて警告したのは共産党だった。『新制度』についても、その分析力で、本質を国民に知らせ、制度廃止の先頭に立ってほしい。期待しています」と語っています。

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