2010年6月5日(土)「しんぶん赤旗」
公害総行動
救済 一人残さず
環境・厚労前 こぶし突き上げ
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第35回全国公害被害者総行動に参加した全国の大気汚染公害患者、アスベスト(石綿)患者、薬害被害者らは4日、東京・霞が関の環境・厚生労働両省前に座り込み、次々にマイクを握って、全公害被害者の救済と地球環境保護のため勝利するまでたたかう決意を示しました。
「ノーモア・ミナマタ国賠訴訟」原告の岩崎明男さん(56)=熊本県天草市=は、昨年9月に民間の医師と水俣病被害者団体が行った「不知火海大検診」で水俣病であることが判明しました。政府が公害健康被害補償法の指定地域外の被害者の救済に背を向けていることについて、「厚労省に根拠は何かと聞いても(救済対象を指定地域内に限定する)水俣病特措法をあげるだけ。何と悲しいことでしょうか」と訴えました。
同訴訟原告で新潟水俣病被害者の山田サチ子さん(74)=新潟県新発田市=も「全被害者の救済が一番の願い。検診を進め、一人残さず救済を」とのべました。
「よみがえれ! 有明海」訴訟原告でノリ養殖漁業者の大鋸武浩さん(40)=佐賀県太良町=は、諫早湾干拓の潮受け堤防の開門調査をと訴えました。「有明海では赤潮が発生し、ノリが色落ちしてアサリが死んでいます。これは公共事業による公害です」
「東京あおぞら連絡会」の小林重信事務局長は、大気汚染の原因となる微小粒子状物質PM2・5の規制基準を環境省が昨年定めたことにふれ、「測定体制を強化し、一刻も早く基準を達成してほしい」とのべました。
「高尾山天狗裁判」原告団の橋本良仁事務局長は、「高尾の自然を壊す公共事業は絶対にやめさせなければならない。勝つまでたたかう」と表明しました。
全国公害被害者総行動実行委員会の森脇君雄代表委員は、運動によって水俣病裁判の和解合意を勝ち取り、諫早湾の開門調査まであと一歩と迫っていると指摘。「今年は大きな勝負の年。解決させるためにたたかいをここで終わらせず、秋にも再び総行動を行おう」と呼びかけました。