2010年5月26日(水)「しんぶん赤旗」
放送法改定案を強行採決
塩川議員抗議
衆院総務委員会で25日、放送法改定案と与党修正案が、異常な運営の末、与党によって強行採決されました。日本共産党の塩川鉄也議員は、「暴挙を重ねた上での強行採決は認められない」と強く抗議しました。
同日の委員会は、委員長(民主党)が職権で開いた上、これまでの与野党による修正協議を一方的に打ち切り、与党修正案の趣旨説明が行われるという異常な事態となりました。
その上、委員長は、提出されたばかりの与党修正案も同日の議題に含めることを理事会に諮りもしないで決定。委員会直前の理事会で「修正案の質疑については(与野党の)筆頭(理事)間で協議いただきたい」と述べていた自らの言明も反故(ほご)にして、強行採決へとひた走りました。
与党側は、同日の本会議への改定案の緊急上程をおりこみ、議院運営委員会理事会で本会議開会を遅らせました。しかし、日本共産党の穀田恵二国対委員長など野党4党国対委員長が横路孝弘議長と衛藤征士郎副議長に正常な運営を申し入れる中で、緊急上程は見送られました。
解説
放送の自由を脅かす
放送の自由を脅かす重大な条項を含んだ放送法改定案が、衆院総務委員会で強行採決されました。放送法制定以来、60年ぶりの大改定でありながら、国会審議は参考人質疑を入れても10時間余。あまりに拙速だといわざるをえません。
国家の放送への介入が懸念されていた電波監理審議会(電監審)の機能強化の規定は、修正案で削除となりました。日本弁護士連合会は、会長声明で削除を要求。参考人質疑でもNHK経営委員会委員長、NHK会長、日本民間放送連盟会長ら全員の参考人から疑問が出されていた条項で削除は当然といえるでしょう。
しかし、問題はそれだけではありません。法案には、総務相の権限強化の規定も盛り込まれています。ハードとソフトの分離に伴う「認定」の問題です。
今度の改定で、番組制作など「ソフト」だけを担う放送事業者の参入が可能になりました。その代わり、ソフト側については総務相の「認定」が必要に。その際、放送内容への行政の恣意(しい)的な介入はないのか。問題は残されたままです。
NHKの会長を経営委員会の構成メンバーに加える問題、放送の定義の問題、論議を尽くすべきことがらは山積みです。原口総務相の口癖である「言論のとりで」を名実ともに実現するなら、国民的論議を経て出直すべきです。(板倉三枝)
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