2010年5月11日(火)「しんぶん赤旗」

待機児童や保育問題解決へ(上)

日本共産党の緊急提言

国と自治体が責任もって

認可保育所 増設急いで


 日本共産党が4月30日に発表した緊急提言「待機児童問題を解決し、安心して預けられる保育を実現するために」の特徴について、広井暢(のぶ)子副委員長・女性委員会責任者に聞きました。


広井暢子女性委員会責任者に聞く

深刻な現状に悲痛な訴え

グラフ

 ―今回の保育政策では、どんな点を重視したのでしょうか。

 いま、保育をめぐる現状は深刻な事態が広がりその解決は待ったなしです。保育団体の電話相談や新日本婦人の会のアンケートに寄せられている内容は「入れないと仕事を続けられない」「保育所を探して引っ越した」「母子家庭だが窓口で断られた」など、“暮らしていけない”悲痛な訴えです。

 雇用破壊が子育て世代の暮らしを直撃してきました。父母二人で働かないと生活できず、保育所入所希望が増えてきたこと、同時に結婚して“仕事と子育て”を両立させていこうという女性も増えてきました。にもかかわらず、認可保育所がつくられてこなかった。

 政府のいう待機児童数は自治体に入所申請をして「待機」している数ですが、認可保育所入所を希望している潜在的な数は100万人といわれます。ですから、第一には、保育が必要なときにいつでも預けられる認可保育所の数を増やす必要があるということです。

つめ込みで子ども犠牲に

 もう一つは、数的な不足にとどまらない深刻な問題として、保育環境や保育条件をこのままにしてはいけないということです。定員を超えたつめこみが子どもの生活を脅かしています。一日の大半の時間をすごす保育所。欧州などと比べ遅れた基準にありながら、そこに詰め込み、お昼寝は廊下、子どものけんかも増えているという話もききます。言葉では訴えるすべをもたない乳幼児に犠牲を強いるあり方でいいのか。保育関係者の努力も限界です。

破たん明らかな「規制緩和」路線

 なぜこうした事態が放置され、拡大してきたのか、政府の待機児童対策とは一体なんだったのか。緊急提言では、結論として、「規制緩和」「民間委託」で市場化をすすめてきた政府の「待機児童対策」の破たんが明らかになっていることを指摘しています。ところが、自公政権で破たんが明りょうになっている「規制緩和」路線をさらにすすめているのが民主党政権です。

 私たちは、公的保育を保障することは国と自治体の責任である、とそのための具体的な政策を提言しました。今回は「緊急提言」であり、保育がかかえているすべての問題を網羅したものではありません。今後さらに、国連の女性差別撤廃条約や子どもの権利条約をふまえ、条約批准国に実施が求められている内容や欧州で当たり前になっている到達点にたって保育の拡充を求めていきたいと思います。

認可保育所を年間10万人分

 ―政策では、認可保育所を年間10万人分つくると提案していますね。

 政策でまず提案したのは、認可保育所を当面年間10万人、3年間30万人、さらに保育要求の実態調査をして「整備計画」を拡充・発展させることです。自治体が保育所を作りやすいようにするために、国は何を支援する必要があるかを明らかにしました。

 自治体が予算を減らし保育所をつくらなくなった要因の一つに、公立保育所への国庫補助の一般財源化があります。これを元に戻し、保育所の建設や改築への国庫補助率を3分の2に引き上げることです。

 また、都市部の用地確保に国有地などの優先利用や土地取得に対する国の助成制度、小規模保育所や待機児童の85%をしめる3歳未満児保育への補助の問題も提起しています。(つづく)





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