2010年3月19日(金)「しんぶん赤旗」

「非核三原則」守る保証どこに

日米核密約 政府の見解ただす

志位委員長が質問主意書


 日本共産党の志位和夫委員長は18日、国会内で記者会見し、「日米核密約」に関して政府の見解をただすため、質問主意書を提出したことを明らかにしました。(全文


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=18日、国会内

 志位氏は、先に外務省が発表した日米密約に関する「有識者委員会」の「報告書」について、1960年1月6日に日米間で合意された「討論記録」の存在を認めながら、これを核持ち込みの密約―核搭載艦船・航空機の寄港・飛来を事前協議の対象外とする秘密の合意であることを否定していることに、最大の問題点があると改めて指摘。「密約を密約と認めないと廃棄することもできなくなる。非核三原則を守る保証はどこにあるのかが問われる」と強調しました。

 そのうえで、主意書では、政府の矛盾が集中的に現れている点に絞って二点(別項参照)質問しています。

 第一は、「討論記録」が日米間の公式の合意文書であることを認めるかとの設問です。

 志位氏は、「討論記録」そのものと、60年1月6日から9日にかけてのマッカーサー米駐日大使の三つの電報をみれば、「『討論記録』は日米両政府の代表が『了解して作成』され、その代表が頭文字署名をおこない、秘密の文書として扱う確認もおこなっているわけで、公式の文書であることは疑問の余地がない」と指摘。「日米間の公式の合意文書であることを否定する根拠はないはずだ」とのべました。

 第二点は、94年以後も核搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性を認めるかとの設問です。

 「有識者委員会報告書」の解釈によっても、米国は核搭載艦船の寄港を事前協議なしに自由にできることになります。岡田克也外相は、この点を追及されると91年と94年の米核政策を持ち出し、「いま持ち込みは起こり得ない」と答弁しています。

 志位氏は、「岡田外相の答弁は、94年に米政府がおこなった核兵器に関する政策変更をまったく理解していない事実誤認の答弁だ」と指摘。(1)94年の米「核態勢の見直し」(NPR)で潜水艦については「核巡航ミサイルを配備する能力を維持する」と明記していること、(2)08年の米政府報告書でも「海洋発射核巡航ミサイルからなる非戦略核戦力は維持される」と明記されていること、(3)09年の米議会報告書でロサンゼルス級攻撃型原潜への「陸地攻撃核巡航ミサイル(TLAM/N)の配備」を明記していること、(4)2000年からの10年間でロサンゼルス級・同改良型の攻撃型原潜の日本寄港が479回におよぶこと―の四つの事実をあげ、「今年1月、2月にもロサンゼルス級攻撃型原潜は日本に寄港している。今後も続くことが予想される。政府は寄港する原潜に核兵器搭載能力を維持したものが含まれないことを保証できるのか」とのべました。

 志位氏は、核持ち込み問題は「過去の問題ではなく、現在続いている問題だ」と強調しました。


質問項目

 一、政府は、「討論記録」が、日米間の公式の合意文書であることを認めるか。

 二、一九九四年以後も、核搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性を認めるか。


 質問主意書 国会法に基づき、国会議員が「書面」の形で内閣に行う質問。国会開会中に提出することができます。まず、議長に提出され、議長の承認を経て内閣に転送されます。答弁書は閣議決定を経て返されます。7日以内の回答義務があります。



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