2010年2月19日(金)「しんぶん赤旗」
畜産酪農経営を維持発展させるための申し入れ
日本共産党国会議員団
日本共産党国会議員団が17日、赤松広隆農水相に対して行った「畜産酪農経営を維持発展させるための申し入れ」の全文は次のとおりです。
畜産酪農生産者は、今、枝肉価格の下落と生乳需要の低迷で、困難な経営状況に追い込まれている。一昨年来の飼料価格高騰による経営危機に引き続くもので、万全な対応がなければ、畜産酪農経営の継続が困難になり、国民に対する畜産物の供給と地域経済の維持を危うくせざるを得ない。
ついては、左記の通り申し入れる。
記
1、酪農経営を改善維持するために加工原料乳生産者補給金を引き上げるとともに、現在の195万トンの限度数量を205万トンまで引き上げること。
2、国内需給が大幅に緩和している中での乳製品の輸入は、乳製品価格のさらなる下落を招き、酪農経営を一層悪化させることになる。それを防ぐためにも、農畜産業振興機構を通じてカレントアクセスとして輸入している生乳換算で13万7000トンに及ぶ脱脂粉乳やバターの輸入を極力抑制すること。また、カレントアクセスとして関税割り当てで輸入している生乳換算で13万3000トンに及ぶ脱脂粉乳の輸入を国産に置き換えるよう指導すること。
3、酪農ヘルパー事業を継続するとともに酪農ヘルパーの広域利用に対する支援など事業内容の拡充を図ること。
4、畜産経営を守るため、肉用子牛補給金の保証基準価格を引き上げること。また、肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン事業)と肥育牛生産者収益性低下緊急支援対策事業(物財費マルキン)の継続を行うとともに、補填(てん)割合を10割まで引き上げること。豚肉の安定基準価格を引き上げるとともに、肉豚価格差補填事業を継続し、経営安定ができるように事業内容を拡充強化すること。また、鶏卵価格安定基金についても国庫補助額を増額し、基金基盤を強化すること。
5、中長期的に畜産酪農経営を守るために、畜種ごとに必要な所得を確保することを目的とする新たな価格・所得補償制度の導入の検討を進めること。
6、配合飼料価格安定制度についても、生産者負担分に対する支援制度の創設をするとともに、民間資金導入部分の利子補填を継続すること。
7、食料自給率を急速に引き上げるために飼料米生産や飼料用米(発酵飼料稲)生産促進の財政支援を強めること。また、草地林間放牧による酪農肉牛経営の展開や草地基盤整備の推進等で、日本の国土の有効活用による酪農・畜産生産政策を進めること。