2009年12月15日(火)「しんぶん赤旗」
雇用と中小企業の危機打開のため、年内にとるべき緊急対策について
(全文)
日本共産党の志位和夫委員長が14日、鳩山由紀夫首相に申し入れた「雇用と中小企業の危機打開のため、年内にとるべき緊急対策について」の全文は、次の通りです。
政府は10月23日に策定した「緊急雇用対策」で、「今年の年末年始に、求職中の貧困・困窮者が、再び『派遣村』を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにする」ことを目標に掲げたが、政府が機動的かつ十分な対策をとらず、現状のまま推移するならば、昨年末以上に深刻な事態を引き起こす危険がある。
雇用情勢は、完全失業率、有効求人倍率とも、過去最悪水準にある。また、雇用保険の失業給付が「期限切れ」で打ち切られる失業者がつぎつぎと生まれている。政府の控えめの推計でも、年末までに23万人の失業者が新たな職につけないまま失業給付を打ち切られるとされている。
日本経済の土台を支える中小企業が、年末、年度末を前に危機的な事態に直面している。民間調査機関によれば、今年の年間倒産件数は昨年を上回り、1万3000件を超えると見込まれている。倒産によって毎月1万人規模の雇用が奪われる事態が続いている。
こうした現下の経済情勢をふまえ、政府が、雇用と中小企業の危機打開のために、年内にとるべき緊急対策として、以下の諸点を求める。
1、失業者への緊急支援をおこなう
雇用保険の「全国延長給付」をおこなうこと。「生活・訓練給付金」の対象を、「厚労省指定の講座受講者」という要件をはずして、生活に困窮している求職活動中の失業者全体に広げること。緊急宿泊所の確保、生活保護などで、失業者をホームレスにしないための万全の方策をとること。
2、大企業に雇用の社会的責任を果たさせる
大企業による年末から年度末にかけての「非正規切り」=解雇・雇い止めを許さず、雇用の維持、正社員化の責任を果たさせるため、政府として強力な指導をおこなうこと。
3、中小企業支援策の緊急拡充をおこなう
雇用調整助成金の給付期間の延長、限度額の引き上げをはかること。信用保証協会の「緊急保証」制度は、全業種を対象とするとともに、「部分保証」制度を廃止し全額保証にもどすこと。倒産回避のため、緊急の休業補償・直接支援をおこなうこと。
4、大銀行の貸し渋り、大企業の下請けいじめをやめさせる
メガバンクによる貸し渋り、貸しはがしをただちにやめさせること。大企業による下請けいじめを厳しく取り締まり、事例と企業名の公表、被害補償などの是正措置を迅速におこなうこと。