2009年12月3日(木)「しんぶん赤旗」
日米防衛族と親密
軍事利権疑惑の秋山被告
久間元防衛相証言で鮮明に
東京地裁 脱税公判
軍事利権疑惑で「黒幕」と呼ばれ、所得税法違反(脱税)に問われている社団法人「日米平和・文化交流協会」常勤理事の秋山直紀被告の公判が2日、東京地裁(朝山芳史裁判長)で行われ、久間章生元防衛相らが弁護側証人として出廷しました。久間氏らの証言からは、日米の防衛族と秋山被告の密接な二人三脚ぶりがあらためて浮き彫りになりました。
「ミサイル防衛システムについては?」
「(秋山被告は)よく知っております」
「秘密保全活動につては?」
「(被告は)それもよく存じております」
「有事法制と国民保護法制は?」
「それについては特に熱心でした」
淡々とした口調で、被告の人脈と防衛知識を強調した久間元防衛相は「わが国に貴重な役割を果たした」と、情状酌量を求めました。
もう一人の証人、山口昇防衛大学校教授は、「情状証人で出廷したい人が数人いた。調整の結果、私が選ばれた」とのべました。
弁護人から「数人とは誰か?」と問われた山口氏は、西銘恒三郎前衆院議員(自民党)、宝珠山昇元防衛施設庁長官らの名前を挙げました。
さらに山口氏は「被告は人脈紹介が得意だ。(米国要人との面談を)在外公館が調整してもラチがあかないが、秋山氏のサイドからのプッシュでドアが開くことがあった」とのべ、ラムズフェルド前国防長官との人脈を紹介しました。
起訴状によると、秋山被告は、軍需商社山田洋行や神戸製鋼と日立製作所から受け取ったコンサルタント料など、約3億1400万円を米国現地法人名義の口座に隠し、約9900万円を脱税したとされています。
11月9日の第2回公判で山田洋行の宮崎元伸元専務は、化学兵器の遺棄事業をめぐり、「地元対策費で1億円出してもらえないか」と不自然な要求を受けたことを証言しました。
この要求に応じた宮崎元専務の証言からも秋山被告が持つ日米の軍事関係者への影響力がうかがわれます。
久間氏にも疑惑
日米平和・文化交流協会の理事でもある久間章生元防衛相自身もいくつかの疑惑があります。山田洋行の宮崎元伸元専務から接待や「お車代」を受け取るなど、同社をめぐる一連の疑惑への関与が疑われています。