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2009年11月11日(水)「しんぶん赤旗」

主張

「後期医療」廃止

先送りは公約違反 許せない


 鳩山政権が、新たな「高齢者医療制度」をつくるまで、後期高齢者医療制度を廃止しないと言い出しています。

 民主党は昨年、後期高齢者医療制度を今年4月に廃止し、老人保健制度に戻す法案を国会に提出しています。日本共産党も共同提案に加わり、廃止法案は参院で昨年6月に可決したものの、衆院では自公が審議を棚上げしました。

国民への約束はどこへ

 当時、鳩山由紀夫首相は街頭演説などで訴えています。「最も深刻な問題はお年寄りの尊厳を傷つけたことであり、お年寄りの尊厳を取り戻すためには廃止法案を可決するしかない」―。

 総選挙でも鳩山首相は、「廃止のためにも政権交代が必要だ」と力説しています。鳩山政権が誕生し、国民、とりわけ高齢者のみなさんは「新政権は直ちに廃止に着手するだろう」と心待ちにしていたはずです。

 「総選挙で自公政権が退場し、『後期高齢者』の言葉も退場かと高齢者のみなさんも期待していた。なぜ態度が変わったのか」

 9日の参院予算委で国民の疑問をただした日本共産党の小池晃参院議員に、首相は次のように答えました。「すぐ廃止できると思っていたが廃止するだけでも2年かかる。2年かかるのであれば新しい制度を考えたほうが効果的だ」。明らかに先送りの姿勢です。

 長妻昭厚労相は「役所の資料を見ると、制度を廃止して老健制度に戻すだけでも広域連合の問題、システムの改修等々で2年かかる」と説明しました。

 これは昨年の国会で廃止法案に抵抗した自公政権・厚労省の口実そのものです。しかし昨年の国会では、民主党は「(後期高齢者医療制度への移行作業は)1年ぐらいの間に行われた」、廃止にそんなに時間はかからないと反論しています(大塚耕平参院議員、現内閣府副大臣)。

 一転して役人に丸め込まれてしまったとすれば、あまりにも情けないことです。

 長妻厚労相は老人保健制度にも疑問があるとのべ、「だから新制度に」と言います。昨年の国会では「(老健制度が完全とは思っていないが)今日対応を迫られているのは国民健康保険の問題」(福山哲郎参院議員、現外務副大臣)だと明言していました。政権に就いた途端に道理のある主張を投げ捨ててしまったのでしょうか。

自公政治の最悪の象徴

 小池議員が指摘したように新制度など影も形もありません。厚労相の想定でも、新制度への移行は4年後の2013年度です。

 今の制度を延命させればさせるほど国民の被害を広げざるを得ません。今日も明日も75歳の誕生日を迎えた高齢者が次々と制度に放り込まれていきます。保険料は2年ごとに高齢人口や医療費の増加に応じて値上げされます。新たな軽減措置を講じても、東京では来年度から平均的な厚生年金(211万円)を受給する単身世帯で約1万円、夫婦世帯は1万2千円を超える値上げとなります。

 鳩山政権は「お年寄りの尊厳を取り戻すためには廃止法案を可決するしかない」という原点に立ち返り、公約を守るべきです。暮らしに冷たい自公政治の最悪の象徴である後期高齢者医療制度は、直ちに廃止するのが当然です。



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