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2009年11月5日(木)「しんぶん赤旗」

保育所面積の基準後退

都市部緩める 国の責任放棄

長妻厚労相


 長妻昭厚生労働相は4日、国が全国一律に定めている認可保育所の面積の最低基準について、「東京都など待機児童の深刻な都市部の一部に限り、地方自治体に基準を定める権限を委譲する」との考えを示しました。内閣府に同日提出した政府の地方分権改革推進委員会の第3次勧告に対する回答に盛り込みました。

 最低基準は、憲法25条に基づき、子どもに「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために国が定めているものです。ゼロ、1歳児の場合、乳児室(ハイハイしない場合)なら1人当たり1・65平方メートル(約1畳)、ハイハイする場合は1人当たり3・3平方メートル(約2畳)と、決して高いものではありません。「むしろ向上させるべきだ」との指摘が、保育現場や子どもの発達の専門家などからは上がっています。

 一部の地域とはいえ、これを下回る水準を容認することは、子どもが健やかに成長・発達する環境を守る国の責任を投げ捨てるもので、重大です。

 面積基準についての権限委譲を認める地域の範囲や要件などは、今後さらに検討し、年内にも決定する方針。来年の通常国会にも関連法案を提出します。

 面積基準とともに廃止・地方の条例への委譲を検討していた職員の配置基準や、介護・障害者施設の施設面積基準については、条例に委任するものの、国の最低基準の順守を求める考えを表明しました。

 保育所の最低基準をめぐっては、全国保育団体連絡会、全国保育協議会、全国保育士会、日本保育学会、こども環境学会、保育園を考える親の会などが、子どもの育ちへの悪影響を懸念する立場から、相次いで廃止反対のアピールを発表しています。3日に都内で開かれた保育大集会には、全国から2800人が参加し、「最低基準をなくすな」の声を上げました。



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