2009年10月7日(水)「しんぶん赤旗」
雇用対策は急務
政治の責任で生活・再就職支援
鳩山由紀夫首相は「年末にかけて、また雇用情勢が悪化する可能性も強く懸念される」(5日)として、追加の雇用対策の検討に本格着手することを明らかにしました。菅直人国家戦略担当相と長妻昭厚生労働相らも5日、緊急の雇用対策を月内にも取りまとめる方針を確認。6日に雇用対策本部の設置を決めました。
連立政権樹立に当たっての3党合意(9月9日)で「深刻化する雇用情勢を踏まえ、速やかに緊急雇用対策を検討する」と確認してから1カ月、具体化に着手した形です。
8月の完全失業率は過去最悪だった5・7%から0・2ポイント低下したものの、完全失業者の実数では361万人と前月より2万人も増加。失業給付の打ち切りなどで、名古屋市中村区役所前など各地で炊き出しに並ぶ人の列も延びています。
「年越し派遣村」で村長を務めた湯浅誠氏も、NHK番組(9月30日)で、自立生活サポートセンター「もやい」でも電話が一日中鳴り止まない状態であり、「状況は確実に悪化している」と強調しています。
改善・拡充を
9月30日、国会内で開かれた派遣法抜本改正を求める集会で、日本共産党の小池晃政策委員長は「この問題に対する政治の対応がいま緊急に求められている」と強調。「失業者の生活、再就職支援を本当に思い切ってとりくむ。このことを実現しようじゃないか」と呼びかけました。
日本共産党は総選挙政策でも、▽雇用保険の抜本的拡充▽失業給付を受けられない失業者への支援▽介護、医療、保育、自然エネルギーなどの分野での新規雇用の創出▽職業訓練の充実・強化―などを柱に対策の抜本的強化を主張してきました。
緊急・当面の問題では、4月の今年度補正予算で7000億円を積んだ「緊急人材育成・就職支援基金」は、訓練メニューや支給要件で「使い勝手が悪い」と指摘されており、より使いやすいものに改善・拡充していくことも要求しています。
また、職も住居も失った人たちがアパート入居を果たすまでの過渡的・臨時的住宅=シェルター=を自治体が確保する際の補助金も引き上げられましたが、肝心の自治体が失業者の集中を恐れ、実施できずにいるのが実態です。住宅問題についても本腰を入れた対応が必要です。
小池氏は、こうした施策を「矢継ぎ早に打っていく」必要を強調しました。
新政権も、雇用保険の対象拡大、不足する介護労働者の待遇改善のほか、企業が従業員に支払う休業手当を補てんする「雇用調整助成金」の要件緩和を検討しています。また、失業増加が際立つ若年層への支援策も考えられています。小池氏は「いいものは前にすすめていく、積極的に提案していくという立場で頑張っていきたい」と述べました。
大企業の責任
同時にいま重要なのは、理不尽な「非正規切り」や正社員リストラなどを続けている大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせることです。「非正規切り」の多くが違法であり、それをただすことは政府の責任です。
湯浅氏は、先の番組で「革命ともいわれる大きな構造改革には時間も必要だろう。しかし他方で、人々の生活は待ったなしの状態にある」と述べ、「人々の声を直接に反映させる国会」が「衆院解散からすでに2カ月以上ストップしている」現状に警鐘を鳴らしました。政権の対応が問われています。(藤原直)