2009年9月21日(月)「しんぶん赤旗」
主張
敬老の日
名実ともに長寿を祝う日本に
今年の敬老の日は、長年にわたって「敬老」の心を踏みにじってきた自民党政権の崩壊の中で迎えました。日本の政治に文字通り「敬老」の心を取り戻す大きなチャンスが開けています。
若者と対立させる議論
敬老の日は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」(国民の祝日に関する法律)日です。こどもの日、成人の日に準じて「老人」の日とはせず、「敬老」の日としていることに大きな意味があります。
ところが自民党政府は1980年代以降、財界仕込みの「構造改革」路線によって高齢者の福祉をずたずたにしてきました。国の制度として70年代に無料化した老人医療費を有料に戻し、それを皮切りに社会保障の連続改悪に踏み出しました。消費税の導入と税率引き上げは年金生活の高齢者に重い負担をかけています。
何より許せないのは、自民党政府が“高齢者福祉は若い世代の重荷だ”と、若い世代と高齢世代の対立をあおって高齢者に負担増を迫ってきたことです。これほど、お年寄りに肩身の狭い思いをさせた議論はありません。
実際には高齢者福祉の改悪を突破口にして、健保本人の窓口負担や年金保険料の引き上げなど現役世代の負担増が進められました。生活保護では老齢加算の廃止に続いて母子加算も廃止されました。消費税は不安定雇用に苦しむ若者や学生を痛めつけています。
お年寄りをないがしろにする社会は若い世代も大切にされない社会です。憲法25条はすべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しています。世代の対立をあおる議論はすべての世代にかけられた生活破壊の攻撃です。
発足したばかりの民主党中心の連立政権は、後期高齢者医療制度の廃止など、高齢者・国民の声に応える姿勢を示しています。
後期高齢者医療制度は高齢者いじめの極みであり、すべての世代の命と暮らしを脅かす社会保障抑制路線の先ぽうを担っています。全国の高齢者が怒りの声を上げて世論に訴え、日本共産党も国会で論陣を張り、政府に廃止を迫ってきました。高齢者の運動が政治を大きく動かす原動力となったことは明らかです。
これを突破口に高齢者と若い世代が連帯し、高齢者と子どもの医療無料化を勝ち取り、社会保障の削減から充実へと抜本転換を進めようではありませんか。
かつて老人医療費の無料化を実現した日本は、今よりはるかに貧しい時代でした。軍事費や大型公共事業の浪費を是正し、大企業・大資産家への行き過ぎた減税を改めるなら、消費税に頼らなくても財源は生み出せます。
心から「よかった」と
ことし喜寿(77歳)を迎えた方が生まれたのは32年(昭和7年)です。世界ではドイツでナチスが第1党となり、日本は前年に中国への侵略戦争を開始しています。翌33年には「蟹工船」の小林多喜二が特別高等警察に逮捕、拷問の末に虐殺されました。
侵略戦争に心身ともに傷つけられ、戦後の窮乏と怒とうのような経済の構造変化の中で身を粉にして働いてきた世代です。
そんな高齢者のみなさんが心の底から「長生きできてよかった」と思える日本へ、日本共産党は全力をあげてがんばります。
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