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2009年9月9日(水)「しんぶん赤旗」

主張

学費ゼロ

お金の心配なく学べる社会へ


 「高すぎる学費を引き下げて」という切実な願いの実現にとりくむ「学費ゼロネット」が7日、初めての全国交流会を開きました。

 学費が払えず退学に追い込まれる、教科書が買えない、奨学金を借りた上にアルバイトを三つかけもちせざるを得ない―。報告された学生の実態は深刻です。

 同時に交流会では、悩みを語り合い、学費無償化の世界の流れを学ぶ中で、「何とかしよう」と立ち上がって連帯の輪をつなぐ各地の取り組みが報告されました。

異常な低予算・高学費

 「世界一高い学費」が学生と家族に重い負担を強いています。「学費で家族に迷惑をかけて申し訳ない」と、つらい思いを抱いている若者たちも大勢います。

 高校入学から大学卒業までにかかる費用は平均で1023万円、世帯年収に占める教育費の割合は34・1%に上ります(日本政策金融公庫)。経済協力開発機構(OECD)の8日の発表によると、日本の国内総生産に占める教育の公的支出の割合はわずか3・3%、比較できる28カ国中27位でした。

 憲法26条は、すべての国民に「ひとしく教育を受ける権利」を保障しています。教育基本法も経済的地位による教育上の差別を禁止しています。それにもかかわらず、「世界一高い学費」が、「経済的な地位」によって国民を教育上差別しているのです。こんな実態は一刻も放置できません。

 憲法も教育基本法も踏みにじる事態を招いた最大の原因は、歴代の自民党政府の極めて貧困な教育対策にあります。

 1970年代から「教育で利益を受けるのは学生だから本人が負担せよ」という財界仕込みの「受益者負担論」を打ち出し、学費値上げを繰り返してきました。その結果、70年に1万2千円だった国立大学の授業料は53万5800円(標準額)へと、45倍にも高騰しています。しかも自民党政府は、授業料値上げと並行して、学ぶ権利を支える奨学金に有利子制を導入し、いまでは有利子が7割を占めるまでに拡大しています。

 こんな古い考え方で教育行政を続けている国は日本ぐらいです。

 教育を受けることは国民の権利であり、その権利は出身家庭の貧富で左右されてはなりません。何より学生が人類の英知に学び、技術を身につけて社会に生かすことは社会全体の安定と発展につながります。教育の最大の「受益者」は国と社会にほかなりません。

 世界では、こうした考え方に立って高校と大学を無償化し、奨学金は給付制とする流れが主流になっています。

政治が動き出すとき

 総選挙でも高学費が大きな議論になりました。その中で全政党が給付制奨学金の導入で一致する変化が生まれています。与野党を超えて協力し、給付制奨学金を実現しようではありませんか。国公立大では「世帯年収400万円以下は全員免除」などの制度を全国に広げ、私立大でも授業料の直接助成制度を作る必要があります。自民党政治を根本から転換し高等教育の無償化をめざすべきです。

 「学費ゼロネット」の名前には「学費のゼロ」とともに、「学費で困っている人をゼロにする」という二つの意味が込められているといいます。その実現に向けて、政治が動き出すときです。



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