2009年9月8日(火)「しんぶん赤旗」
保育待機児2万5000人超
1年間で3割増は過去最多
認可保育所に申し込みながら満員で入所できない「待機児童」が、2009年4月1日時点で前年同期比5834人増の2万5384人と1・3倍に急増していることが7日、厚生労働省の調査で分かりました。2年連続の増加で、2万5000人を超えたのは6年ぶり。増加の人数や率は現行方法で統計を始めた01年以来、過去最多でした。昨秋以降、「雇用破壊」のもとで失業やリストラ、賃金水準が悪化しており、同省は「不況で共働きが増えたのが大きな要因」(保育課)とみています。
保育所数は2万2925施設で、前年同期比で16カ所しか増えていません。定員は同1万1192人増(同0・5%増)の213万2081人で、定員充足率は95・7%と年度途中ではほとんど入所できない状況です。私立に限ると、103%と定員をオーバーしたつめ込みになっています。
自民・公明政権が、認可保育所の増設を怠り、定員を超えた子どものつめこみや認可外の保育サービス活用など安あがりの対策にたよってきたためです。
日本共産党は、公共施設活用による臨時保育所設置などの緊急措置の実施とともに、認可保育所の抜本的増設に踏み出すことを求めています。
解説
国の責任で認可園増設を
不況の中で働きに出たいと望む女性は増えています。ところが前年から増えた保育所は全国でたったの16カ所。これでは国民の苦境が解消されるべくもありません。政府の試算でも100万人分の新たな保育所が必要です。小手先の対応では解決しません。
自公政権は、認可保育所の増設ではなく、定員「弾力化」による子どもの詰め込みと、保育分野への営利企業の導入で対応してきました。「サービス供給量を急速に増やす」という口実で、自治体の保育の実施責任をなくし、市場にゆだねる保育制度の大改悪の検討もすすめてきました。
民主党は、待機児童解消のため▽縦割り行政になっている施策の一本化▽学校の余裕教室などを利用した認可保育所の分園増設▽「保育ママ」の増員、認可保育所の増設―をマニフェストに掲げますが、認可保育所の抜本増設が軸に座っているとはいえません。
将来を担う子どもの保育に国と自治体が責任を持ち、子育てを支えるのは当然です。待機児童解消には、なによりもまず、保育予算を抜本拡充し、公的責任で認可保育所の増設に踏み出すことが必要です。
総選挙後も引き続き検討が続いている保育制度改悪や「地方分権」の名で保育の最低基準を崩すたくらみもストップする必要があります。新政権には、保育への公的責任の強化に転換することが求められます。(西沢亨子)
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